【社説】憲法裁判官任命は政局混乱を減らす最小限の措置=韓国
与野党と韓悳洙(ハン・ドクス)大統領権限代行が参加する与・野・政協議体が今日予定された最初の会議からつまずいている。与野党は本会議を開いて預金者保護法改正案など民生法案110件を処理することにした。実生活と関連した法案の通過も重要だが、最も緊急な懸案は12・3非常戒厳措置による衝撃を最小化することだ。非常戒厳の余波で株式市場が不安定になり、ウォン安ドル高が進むなど経済全般に非常灯がついた。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の職務停止でトランプ次期米大統領側との意思疎通をはじめ外交全般がふらついている。 全方向の混乱を克服するためには国政の不確実性を最小化する必要がある。与・野・政協議体が期待を集めた理由だ。しかし開始前から破裂音が聞こえる。現在、与野党が激しく対立している懸案は内乱・金建希(キム・ゴンヒ)大統領夫人特別検察官法と空席の憲法裁裁判官3人の任命だ。野党の推薦権だけを認める特検法案は違憲の余地があるというが、憲法歳裁判官の任命は先延ばししても実益も他の解決策もない事案だ。与党・国民の力は「大統領権限代行は憲法裁裁判官を任命できない」と主張しながら裁判官9人体制の完成を阻んでいる。 空席の3人の裁判官は国会が推薦するが、韓権限代行が任命しても法的に問題はないというのが学界の多数意見だ。さらに国民の力が推薦した趙漢暢(チョ・ハンチャン)憲法裁裁判官候補者までも韓権限代行の任命権限について「憲法規定に合うと考える」と述べたほどだ。憲法裁判所法23条は「裁判所は裁判官7人以上の出席で事件を審理する」と規定している。憲法裁判所は裁判官6人体制でも裁判が可能という立場を明らかにしたが、大統領弾劾のような重大な事件を不完全な体制で決定すれば、いかなる結論であっても論争が避けられない。国会人事聴聞会の過程でも大きな欠陥が発見されなかっただけに、裁判官候補者3人を任命して9人の「完全体」で大統領弾劾可否を判断することが政治・社会的議論を最小化する道だ。 こうした面でいくつかの口実で時間を長引かせ、自分たちが推薦した趙候補者の人事聴聞会までも参加しない与党の態度は極めて遺憾だ。尹大統領のあきれる戒厳宣言が招いた政局の不安定を与党が深めてはいけない。与野党と韓権限代行の交渉までが最初の協議体会議から難航している。 与党が時間稼ぎで一貫すれば、これを解決する人は韓権限代行しかいない。「審理定足数」も満たしていない憲法裁の状態をいつまで傍観するつもりなのか。与党が裁判官任命に協力する余地が見えなければ、韓権限代行が決断して裁判官3人を任命するのが唯一の解決策だ。裁判官を任命しない場合、野党は韓権限代行を弾劾すると主張している。国にさらに大きな混乱を招いてはいけない。憲法裁裁判官の任命はこれ以上先送りする名分はない。