米NY州知事、「渋滞税」導入を中止 物価高で「苦渋の決断」
David Shepardson Jonathan Allen [5日 ロイター] - 米ニューヨーク州のホークル知事(民主党)は5日、マンハッタン中心部で30日から予定されていた「渋滞税」の導入について、無期限の中止を命じたと発表した。 渋滞税は、マンハッタン60丁目より南の中心部に日中乗り入れる乗用車から15ドルを徴収するもので、米国初の試み。渋滞緩和と、公共交通機関を改善するための財源確保を目的に、2019年にニューヨーク州議会で可決されていた。 ホークル知事は執務室からの放送で中止を決めた理由について、多くの住民が高いインフレ率と生計費の高騰に見舞われている現状を踏まえ、「人々の懐にお金を返すことに集中しなければならない」と説明。「苦渋の決断」だったが、交通当局に無期限の中止を命じたと述べた。 さらに、渋滞税が導入されれば通勤やブロードウェイでの観劇をあきらめたり、ニューヨーク市での居住や勤務を嫌がったりする人々さえ出てくる恐れがあると指摘した。 ニューヨーク市のアダムス市長(民主党)は同日、記者団に対し、ここ数日ホークル氏と話し合った結果、導入延期を受け入れたと語った。 ニューヨーク市郊外に住む有権者の間で、渋滞税は11月の米大統領選の判断材料となる可能性も出ていた。