世界柔道が今日開幕! なぜ“世界の山下”は金メダル獲得期待数を明かさなかったのか?
だが、山下会長はJOC会長就任と同時に東京五輪での30個の金メダル獲得を目標に掲げていた。リオ五輪の12個から一気に18個プラスをしなければならない。先日、世界選手権で楢崎智亜が金メダルを獲得した新種目のスポーツクライミングや、空手など新種目に金メダルの計算が立つ競技は少なくないが、やはり柔道での“金量産”は必要不可欠となる。本番と同じ日本武道館で開催される五輪前哨戦で、どれだけの成績を残せるか、は来年へ向けて重要な試金石となる。 井上監督も「世界チャンプの称号を取りにいくことが重要。それをやった先に来年の東京五輪が見えてくる。重要な前哨戦で、来年を想定したことをやっている。今大会のすべてが(来年の五輪と)一緒じゃないが、意識してやっていく」と言う。 9年前の世界選手権・東京大会では10個の金メダルを獲得した。 だが、現状は楽観できない。 昨年の世界選手権(アゼルバイジャン・バクー)では男子の金は60キロ級の高藤と、66キロ級の阿部一二三(22、日体大)の2つだけ。90キロ以上の3階級では決勝へ進めなかった。今回、73キロ級にはリオ五輪金メダリストの大野将平(27、旭化成)が戻ってくるが、復活が悲願の最重量級、100キロ超級に出場する原沢久喜(27、百五銀行)は厳しい組み合わせとなった。 「(初戦の相手は)どっちがくるかわからない強豪選手。勝てば次がおそらくグランドスラム大阪では敗れているナイダン。準々決勝も予想通りに行けばシルバ。そこは、原沢自身も覚悟を決めて準備はしている、もう決まった以上、どうすることもできない。腹をくくって戦うしかない」と井上監督。 1回戦は、昨年の世界選手権で銀メダルを獲得しているウシャンギ・コカウリ(アゼルバイジャン)と、2年前の世界選手権で原沢が初戦で敗れたステファン・ヘギ(オーストリア)の勝者という難関。続く2回戦もおそらく昨年11月のグランドスラム大阪の2回戦で負けたナイダン・ツブシンバヤル(モンゴル)が上がってくる。さらにその2試合を勝ち抜けても3回戦ではロンドン、リオ五輪で連続銅のラファエル・シルバ(ブラジル)が待ち受けている。 一方、女子は前大会5階級で金メダルを獲得、その5人が今大会も揃った。52キロ級で連覇を狙う阿部詩(19、日体大)のライバル、志々目愛(25、了徳大学職員)が故障から回復しているなど好材料もあるが、増地監督は、3連覇を狙う70キロ級の新井千鶴(25、三井住友海上火災)、57キロ級の芳田司(23、コマツ)などに厳しい組み合わせがあると警戒している。 大会終了後に“世界の山下”はどんな総括をするのだろうか?