福島・富岡に障害者就労の場 ブドウ栽培、震災復興の一翼担う
社会福祉法人「友愛会」(広野町)は4月、東日本大震災前に施設を置いていた富岡町の旧光洋愛成園跡地に、ブドウ栽培などの農業を営む就労継続支援B型事業所「アグリパークとみおか」を開所する。跡地の有効活用で町の震災復興の一翼を担い、農業と福祉をつなげる新事業で障害者の就労の場をつくる。 「障害者の働く場所を増やしたい」。同法人は跡地を再活用した農業参入を決意し、県双葉農業普及所や福島相双復興官民合同チームの支援を受けブドウ栽培を中心に据えた。ビニールシートで盛った土に苗を植える方法に決め、2023年10月からブドウ栽培施設を着工。肥料や水を自動管理する設備も導入した。 施設にはシャインマスカットなど3種類の苗計270本を定植し、職員や利用者が枝切りなどの栽培管理に取り組んできた。今年はブドウを初収穫し、地元で販売する予定。栽培に関わる利用者の鈴木勝幸さん(広野町)は「早く仕事を覚えたい」、石田里子さん(楢葉町)は「和気あいあいと仕事ができる環境にしたい」と話す。 アグリパークとみおかの定員は15人。ブドウ栽培のほか、近隣の遊休農地を借りてサツマイモ栽培にも着手する。将来的に環境美化業務なども受注する考えもある。今月に楢葉町に移転するふたば支援学校の実習受け入れも視野に入れる。 同法人は14年ぶりに富岡町に帰還する。新妻哲二事務局長(63)は「双葉地方の復興と、障害者が農業分野で活躍することで自信や生きがいを持って社会参画することを目指す。障害者の就労の場を提供し、多様化する福祉ニーズに応えたい」と語った。 同法人は震災後、群馬県の「国立重度知的障害者総合施設のぞみの園」に拠点を移し、16年に広野町で障害者支援施設などの福祉サービス事業を再開した。
福島民友新聞