トルコで成功するクルド人、経営者や政治家も 川口の同胞は「努力せず不平言う」 「移民」と日本人 クルド人が川口を目指す本当の理由②
トルコの教育制度は小中高がそれぞれ4年ずつあり、10年ほど前から高校も義務教育になった。憲法に平等原則が明記され、民族的な出自による差別はない。公立の授業料は高校、大学まで無償で、競争は激しいが、教育機会の平等は保障されているといえる。
この結果、高校進学率は上昇し、2022年度は91・7%。大学進学率は4割程度となったが、義務教育にもかかわらず高校に行っていない数%には農村部に住むクルド人も少なくないという。
現地の教育関係者は「農村地域はまだまだ子供を牧畜などで働かせている。親の世代は高校が義務教育ではなかったため、いまも教育に意義を見いだせない人も多いのではないか」。
トルコでは現在、クルド系の国政政党があり、与野党問わずクルド人の政治家を輩出しているほか、国営放送にクルド語のチャンネルもある。クルド語の教育機関の設立も認められているが、公用語がトルコ語で、クルド語を学んでも仕事に生かせないため、あまり人気はないという。
公務員試験も憲法で「採用に当たり職業資格以外にいかなる差別も行ってはならない」と規定されている。受験の願書に民族欄もないため、公務員全体のクルド人の割合の統計もないという。
■学歴不問でガテン系
シャンルウルファでトルコ政府の出先機関に勤める国家公務員のクルド人男性(40)は「小学校に入るまでトルコ語を話せなかった。勉強して話せるようになったが、12年前に公務員試験を受けたとき、試験は当然トルコ語で苦労した」と話し、こう続けた。
「外国の人からクルド人は迫害されているのかと聞かれることがあるが、私は迫害はないが差別はあると感じる。言葉の壁もあり、自分たちが少数民族と思い知らされるときもある」
入管関係者によると、日本の難民申請書には学歴欄があり、川口周辺に在留するクルド人の難民申請者の半数程度が中卒以下で、高校の義務教育化以降の世代でも教育を受けていないケースが少なくないという。