マクラーレン「エルバ」にはプレ値はつかない!? 新車価格2億5000万円より安い予想落札価格が物語る悲しい現実とは
当初は399台生産される予定だったが……
ミッドに搭載されるエンジンは、4LのV型8気筒ツインターボ。最高出力は815ps、最大トルクは800Nmを発揮し、0-100km/hを2.8秒で加速する運動性能を実現する。生産台数はデビュー当初は399台に限定されるとアナウンスされていたが、コロナ禍の影響によって249台にまで縮小。当時の新車価格はイギリス本国においては税込みで142万5000ポンド(邦貨換算約2億1660万円)と設定されていた。そして今回、「001」のシャシーナンバーを持つ貴重なモデルが、2024年5月10日に開催されたRMサザビーズのモナコ・オークションに姿を現したのだ。 このシャシーナンバー「001」のエルバには、完成後MSO(マクラーレン・スペシャル・オペレーションズ)の手でさまざまなプログラムが施され、実際にマクラーレンから依頼主であるマクラーレン・ウィーンに出荷されたのは2022年のことであったという。MSO独自のサテン・キロ・グレーのボディカラーに、ジェット・ブラックのセミアニリンレザーとブロンズのディテールをコクピットに採用したフィニッシュは、さらに戦闘的な雰囲気をこのエルバに醸し出している。走行距離はわずかに8kmと、こちらも新車に限りなく近い数字である。 マクラーレン・ウィーンが、このエルバのためにマクラーレンに支払った総額は、じつに151万5301ユーロ(邦貨換算約2億5400万円)。当然それは今回のモナコ・オークションでも主役の1台で110万~150万ユーロのエスティメートがつけられていたが、残念ながら落札に至ることはなく、現在もRMサザビーズを通じて、価格応談のまま販売が継続されている。マクラーレンのアルティメット・シリーズの中でも、もっとも過激な、そしてシーンによってはラグジュアリーなオープン・ドライブが楽しめるエルバ。そのシャシーナンバー「001」は、これからどのような運命を歩んでいくのだろうか。
山崎元裕(YAMAZAKI Motohiro)