岡山・浅口の「至楽居」カフェに一新 倉敷の造園業者、CFで費用募る
岡山県浅口市出身で“関西の孔子”と評された江戸時代の儒学者西山拙斎(せっさい)(1735~98年)の住居「至楽居(しらくきょ)」(同市金光町佐方)が今秋、装いを新たにカフェに生まれ変わる。築約240年とされる古民家の改装を手がけるのは同県倉敷市の造園業者。「日本庭園の魅力や歴史情緒を感じられる施設にしたい」と庭の植栽などにもこだわり、クラウドファンディング(CF)で費用の一部を募っている。 【写真】準備が進む「至楽居」と庭 浅口市教委などによると、至楽居(約70平方メートル)は住居の一部とされ、明治前期に同市鴨方町鴨方から現在の場所に移築、長く空き家だった。イカサ緑地(倉敷市玉島八島)の社長で、古民家再生に以前から興味があった青江勇二さん(47)が建物や土地(約1500平方メートル)を2021年に所有者から取得し、会社を挙げて改修に乗り出した。 建物は和室やソファ席を新設し、カフェの雰囲気を演出。訪れた人に庭の景観を楽しんでもらうため外壁の大部分はガラス張りにした。約600平方メートルの庭は「森のほとり」をテーマに小川を整備。サザンカやアオダモ、カエデなど四季を感じられる樹木を植え、開店に向けてプロの職人たちが培ってきた技術を注ぎ込んでいる。 店名は住居と同じ「至楽居」に決め、拙斎を紹介する看板を店に立てる予定。青江さんは「拙斎を多くの人に知ってもらい、癒やしのひとときが提供できれば」と話す。 CFは山陽新聞社や中国銀行などが運営する「晴れ!フレ!岡山」を活用。28日まで募集し、目標は100万円。詳細は専用サイト(https://readyfor.jp/projects/137283)。
西山拙斎
関西で儒学や朱子学を学び1773年、鴨方で私塾「欽塾」を開設し、地域教育に尽力。幕府の儒官を務めた柴野栗山(1736~1807年)や福山市神辺町出身の儒学者菅茶山(1748~1827年)らと親交を深めた。多くの人から慕われ、会葬には2千人が参列したという。