ソフトバンクとオリックスの優勝争いは、どうなる?
――ソフトバンクは「4番、イデホ」の状態がよくありません。 「確かにホークスの打線は少し下降気味です。イデホのホームラン13本は、物足りなく打点も少ないが、これには、内川や柳田が走者を掃除してしまうという前後の関係もあります。打率3割をキープしていますし、ここ一番での4番としての信頼度は高く、ファーストを守れるのも大きい。彼には、ずっと4番を守ってきたプライドがあるでしょう」 ――一方の元ソフトバンクで、オリックスのペーニャは、本塁打ダービートップの28本塁打を記録しています。 「ペーニャには、春先にインタビューをしましたが、『ここで活躍することがソフトバンクへの真の恩返しになる』という話をしていました。それがペーニャのモチベーションになっていると思います。ソフトバンクで膝の手術をしてもらってから、チーム事情で解雇となりましたが、そういう経緯もあって、ペーニャには特別な思いがあるのでしょう。私は、膝さえ治って春先に打てば活躍するぞ!とは予想していましたが、その想像以上の効果をチームにもたらしていますね」 ――というと? 「オリックスは投手力に関しては去年の段階から優勝争いできるレベルにありました。得点不足をどう解消するかがテーマでしたが、イデホを失ったことで困って獲得したペーニャ、西武から獲得したヘルマンが打線を活性化させ、その相乗効果で、T-岡田を覚醒させました。彼は、長打力とは裏腹に脆さを兼ね備えた選手でしたが、結果が出ることが、どんどんとプラスの自信につながっていますよ。またショートのポジションが不安でしたが、そこにも若い選手が出てきた。彼らも自信をつけて、チームは、まるで新しく生まれ変わったようです。また主力に、ほとんど大きな怪我がないこともチームが好調を維持できている理由でしょう」 ――対してソフトバンクは本多、松田という中心選手が故障離脱しました。 「本来なら、内野のレギュラーが2人故障で抜けたら、ガタっとチームは崩れるでしょう。そこを吉村、金子、明石らが埋めた。吉村も足を痛めてしまいましたが、こういう選手層の厚さがソフトバンクの力です。逆にベンチには、選手を使いこなさねばならないという重圧と責任感が出てくるのですが、ここから先、両チームは、どれだけコンディションと気持ちを充実させて戦えるかでしょう。ファンからすれば最後まで両チームのデッドヒートから目が離せない面白い展開になりましたね」 (文責・本郷陽一/論スポ、アスリートジャーナル)