松下洸平、『光る君へ』周明を演じ終えて 最期のシーンは「あまり感じたことのない気持ち」
吉高由里子主演の大河ドラマ『光る君へ』(NHK総合)。公式サイト内には出演者の撮影現場からのコメントが聞けるキャストインタビュー動画「君かたり」が公開されている。第47回「哀しくとも」の放送後には、平為賢役の神尾佑、そして周明役の松下洸平が登場した。 【写真】天に召された周明(松下洸平) 第47回では、まひろ(吉高由里子)たちが異国の海賊との戦いに巻き込まれ、敵の攻撃で周明が命を落とす。 まひろと周明の関係は、まひろと道長(柄本佑)の関係とは異なる特別なものだった。 まひろと周明は越前で出会い、距離を縮めつつあった。だが、宋人でも日本人でもない立場に苦しんでいた周明はまひろに心を開き切ることができなかったうえ、まひろの命を脅かした。大宰府で再会した際、その場から立ち去ろうとする周明をまひろが呼び止める。周明を演じる松下はインタビューにて、第46回冒頭で周明がまひろと目を見合わせた時、逃げるような素ぶりをとってしまったことについて「当時のこともあるので、若干の後めたさというか申し訳なさ、懺悔の気持ちもあった」とコメント。まひろと顔を合わせた瞬間に見せたハッとした表情、戸惑いを感じさせる表情に、松下が考える周明の気持ちがよく表れている。 松下は、まひろとの再会について「ゆっくり話す時間があったので、そこでお互いの気持ちであったり、もちろん周明もまひろに対して謝罪の念をしっかりと伝えたうえで、これからの二人のそれぞれの人生について語り合うことができた、とてもいい時間だったなと思います」ともコメントしている。第46回では、わだかまりの残る別れからの年月を埋めるようにまひろと周明が語り合い、再び距離を縮める様が描かれていた。 敵の放った矢に胸を貫かれた周明は、悲痛な叫びをあげ、涙をボロボロと流しながら駆け寄るまひろに対して「逃げろ……」と伝え続けた。松下は、まひろを助けた周明の思いについてこう語っている。 「命の尊さを教えてくれた人なので、自分の命を大切にしてほしいという思いがあるからこそ『逃げろ』だったと思うんですよね」 かつて周明がまひろの首に陶器の破片を突きつけ、「(左大臣に)文を書かねば、お前を殺して、俺も死ぬ」と口にした時、まひろは「死という言葉をみだりに使わないで」「気安く死ぬなど言わないで!」と怒りをあらわにしていた。自らの命が脅かされる中、周明が死を口にしたことに憤るまひろの姿が、周明の心を揺り動かす。まひろのまっすぐな言葉と思いが、周明の行動を思いとどまらせたのだ。 だからこそ、周明はまひろに生きてほしいと願い、まひろがその場から逃げることを望んだ。松下は2人のつらく悲しい別れを「感じたことのない悲しみ」と表しながらも、「最後までまひろを守って一生を終えられたっていうのは周明にとっては幸せなことだったのかなとも思うし、すごくつらかったけど、でもこれでいいんだっていう気持ちもあって、今まであまり感じたことのない気持ちを感じました」と話している。 最終回を目前に、あまりにも悲しい死別が描かれることになった第47回。しかしこの周明の死が、最終回で描かれるであろうまひろと道長の今生の別れや、物語や人の生き様が続いていく様を際立たせるのではないだろうか。
片山香帆