俳優・犬飼貴丈のハタラキズム「野望も信念も必要ない、ラフで気張らない働き方のススメ」
仕事に大義は必要なのか。インタビュアーに忖度しない彼は「そんなものはいらない」と話す。犬飼貴丈の飾らないハタラキズムとは? 【写真7枚】俳優・犬飼貴丈さんの他のカットを見る! 俳優 犬飼貴丈 いぬかい・あつひろ/1994年6月13日生まれ。第25回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストでグランプリを受賞し、2017年に『仮面ライダービルド』(テレビ朝日系)の主演に抜擢される。その後、数々の映画やドラマに出演し、現在はバラエティ番組『ぽかぽか』(フジテレビ系)で金曜レギュラーも務める。
事務所の電話番から始まった数奇な俳優の道
「僕の中では『異常こそ正常』なんです。この精神を貫き続けたから今の僕がある」 全裸で校内を走り回る大学生役を演じたかと思えば、次はボーイズラブの世界に抗うモブ役を演じ、極めつけはクズな不倫夫役も器用にこなす。 〝ヤバい役〟ばかりを引き寄せる彼の素顔はこれまた異色で、最近ではバラエティ番組で「14年間、AKB48のガチオタクをやっていた」と暴露し、大バズりした。 昨年から今年にかけて出演した映画やドラマの数はなんと20本以上。独特の空気感をまとい、今や俳優として引く手あまたとなった犬飼さんのキャリアは、意外にも〝電話番〟から始まっていた。 「事務所に所属したばかりの頃はオーディションくらいしか現場がなくて、『事務所で電話応対してよ』と言われて電話番をしていました。気づいたら4年が経っていて。今思えば変なヤツですよね。でも、思い描いていたこととは全く別のことをしている自分に『何やってるんだろう?』って感覚も漠然とありました」 同級生たちが大学へ行き、卒業、就職と着実に人生の階段を上っていく中で、一人だけ「何も成し遂げていない」という焦燥感に駆られる毎日。転機となったのは、主役を務めた『仮面ライダービルド』のオーディションだ。 「落ちたら俳優はやめようと考えていました。でも、今までで一番本気で臨んだら首の皮一枚で繋がった。まさに起死回生、『助かった』と思った瞬間です」 売れっ子俳優の登竜門ともいわれる作品をつかみ取り、王道に乗ったかと思いきや、彼の元へ舞い込むのはなぜか変わった役の数々。隠しても滲み出る、犬飼さんの個性がそうさせるのか。 「No.1であることって大事だけど、それ以上に人として、俳優として唯一無二であることが重要なんだろうなと思うんです。その答えが、とあるマンガで出合った『異常こそ正常』という言葉。電話番を何年も続けたのも、俳優なのにアイドルが大好きだと話すのも、周りから見たら正直『異常』ですよね。でも、いつか死ぬなら今が楽しくて、過ごしやすいほうがいいじゃないですか。だったら、僕にとっての『正常』を貫き通せばいいかなって」 11月クールのドラマ『初めましてこんにちは、離婚してください』では、あまり経験のなかったラブコメに挑戦し、IT企業の若手社長・高嶺正智役を演じるが、ここでも唯一無二の世界観は健在だ。 「これまで変なキャラばかり演じてきた僕なりの味を、どれくらい役に出していいのか。イケメンキャラの高嶺ですが、『ここは気持ち悪さを出していいですよね?』なんて監督に確認しながら、実は微調整しています(笑)」 『異常こそ正常』でいい。 この精神を貫き続けたから今の僕がある