中国の高級ブランド不況は、他の消費財にも波及している…消費者はコスパ志向に(海外)
中国の高級品分野の不況は、より多くのブランドに広がっている。 スターバックス、エスティローダー、ナイキなどの企業は、中国での売上の減少を報告している。 消費者の経済への信頼感は引き続き低調であり、全体的に節約志向が強まっている。 2024年、中国は最もラグジュアリーな分野で低迷に見舞われている。かつては高級品の無限の成長を象徴していたこの地域で、LVMH、リシュモン(Richemont)、バーバリー(Burberry)などの高級ブランド大手の売上が落ち込んでいる。 現在、その不況はより広範な消費産業に襲いかかっている。中国人はグッチ(Gucci)の商品やコニャックを節約しているだけでなく、ビールや口紅といった安価な製品への支出も削減している。2024年第3四半期に中国での売上が低迷したと消費財業界全体が報告していたことからもわかるように、欧米の高級ブランドは特に大きな打撃を受けている。 中国の個人消費は、政府が2022年後半に新型コロナウイルスの規制の解除を開始してからも、完全に回復することはなかった。それ以降、中国は消費者心理の低迷と不動産危機、デフレ、若年層の高い失業率といった複数の経済的課題に直面している。中国の2024年第3四半期の国内総生産(GDP)は2023年と比べると4.6%増えたものの1年以上ぶりの低成長となり、中国政府の目標である5%前後を下回っている。 中国政府は2024年9月下旬、経済を刺激するために積極的な景気刺激策を発表したが、アナリストらは、消費者の信頼感を刺激して高めるためには、さらに多くの対策が必要だと指摘している。 一方、以前は自由にお金を使っていた中国の消費者は、今は消費を控え、現金やゴールド(金)などで貯蓄することを好むようになっている。また、消費に慎重な消費者は、美容やファッションから旅行まで、さまざまな商品でコピー商品や低価格の商品、あるいは中国ブランドの代替品への買い替えを進めている。 「中国での現在の時流は、『少ない支出で豊かな生活を目指す』ことにある」と、北京に拠点を置く市場調査会社ダシュ・コンサルティング(Daxue Consulting)の戦略コンサルタント、ミンイ・ライは2024年9月にBusiness Insiderに語っている。 2024年10月31日、世界最大のビールメーカーであるアンハイザー・ブッシュ・インベブ(AB InBev)は中国での売上減少を発表し、ライバルのカールスバーグ(Carlsberg)とともに予想を下回る売上を報告した。バドワイザー(Budweiser)を製造するアンハイザー・ブッシュ・インベブは、2024年を通じて中国で苦戦しており、同年第3四半期には売上高が16%減少したことを報告している。 ユーロモニター(Euromonitor)のアルコール部門調査責任者であるスピロス・マランドラキス(Spiros Malandrakis)は、「中国では人々が外食先でのアルコール購入を控えており、バーやレストランでの支出が減少している」と、Business Insiderに話している。 「アルコール市場には一定の柔軟性があるが、景気後退の影響を完全に避けることはできない」 だからと言って、中国人がコーヒーやハンバーガーの店に行っているわけでもなさそうだ。マクドナルド(McDonald's)の2024年第3四半期の決算を見ても、中国での売上はマイナスに転じている。10月31日に同年の第3四半期決算を発表したスターバックス(Starbucks)も、中国の既存店での売上高が14%減少したことを報告している。 「すべての兆候が、競争環境が非常に厳しく、経済全体の状況も厳しいことを示している」と、中国市場についてスターバックスの新CEOブライアン・ニコル(Brian Niccol)は同社の決算説明会で話している。 同じような現象がファッションや美容の分野でも起きており、非高級ブランドでは消費者の信頼が高まっており、全体的に支出の引き締めが進んでいる。 エスティ・ローダー(Estée Lauder)やロレアル( L'Oréal)などの美容ブランドは、中国で予想を下回る業績を報告している。エスティ・ローダーの売上は、2024年第3四半期に11%減少しているが、その主な要因は中国本土におけるスキンケア商品の需要の低下だった。同社は最近の中国政府のによる景気刺激策が次の2024年第4四半期の売上を押し上げるとは予想していない。 これらの結果は、ナイキ(Nike)の決算発表に続くものだ。ナイキは夏に通年の業績予想を引き下げており、その理由として中国の不安定な経済を挙げている。このスニーカー大手は、中国における「低調な市場状況」を指摘している。中国は同社にとって世界で3番目に収益を上げている大きな市場だ。 かつて中国市場で無敵と言われていたアップル(Apple)でさえ、今回の結果は中華圏部門の売上予想を下回った。
Madeline Berg,Huileng Tan