山根元会長の日本連盟“完全撤退”の真相とまだ未解決の不安とは?
日本ボクシングを再興する会の関係者は「山根元会長が連盟からすべて辞任された報には正直、ビックリしました。ただ一緒に活動されてきた理事の方々が、まだ辞任届けを出されていません。その方々が態度を明らかにされない限り、まだ不安は消えませんし組織の健全化が進みません」と警鐘を鳴らす。 実は、辞意の意思を固めたとされる25人の理事が、まだ正式な辞任届けを出していないのだ。30人の理事中、25人の理事は、辞任の意思を固めて、8月7日に、臨時理事会を招集。出席した23人が、山根元会長に、「一人で頑張られて、お体が心配です」「これ以上名誉を傷つけないで下さい」「暴力団との関係があるようでは世間の皆さんの大変な非難を浴びますよ」と手を変え品を変え、辞任を呼びかけ、委任された2人分を含めて、25人分の辞任届けを文書で山根元会長に提出したが、「こんなものは認めない」と山根元会長は、その場で破り捨てたという。 理事会は、決断を会長に一任、その翌日に山根元会長は、辞任会見を開いた。だが、すぐに山根元会長が、沈黙を破って反撃を再開。テレビで発言を続け、関西連盟会長、奈良県連盟名誉会長として居座る考えを示唆した。再興する会は、その反撃姿勢に危機感を強め、臨時総会を開く準備を早めていたが、その破られた辞任届けの再提出が、まだないという。文書で辞任届けを出したのは、理事会に出席しなかった山根会長の長男で会長代行だった山根昌守氏だけ。まだ25人分の辞任届けが宙に浮いたままなのだ。 吉森専務理事は会見で「(25人は辞任の)意思表明はしましたけど正式の書面は何もありませんので、もう1回、意思確認する必要があります」と語っていたが、まだ、その確認作業も辞任届けの再提出もない。 また吉森専務理事は「一番責任があるのはいわゆる常務理事以上で原則的には(常務理事は)辞任する方向でいこうという話。その他の理事は、そのまま残るのか、引き継ぎもある。どういう風にするかは再確認しないと分かりません」とも語っていた。おそらくこれは、本音だったのだろう。13日には、公式HP上で秋の国体まで現体制のままで“引き継ぎ運営”を担うことが発表されたが、一部の情報によると、14、15人の理事が“抵抗勢力”として辞任を拒否、山根元会長が“完全撤退”した後も理事として“次期政権”に参加したい意向を示しているとも言われている。 山根元会長だけでなく、イエスマンとして、その独裁を許してきた側近理事たちも一掃されなければ、改革は進まない。まして臨時総会では、山根元会長の“完全撤退”で、計76人となった理事、都道府県代表中、過半数の支持がなければ、新理事を選出できないのだ。そのためにも、まずは破られた理事の辞任届けの再提出が非常に大事な残された課題となっている。再興する会が、JOC、スポーツ庁などに審判不正や助成金の不正流用などを告発して始まった問題の根は、それほど深いのである。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)