“オスカー女優”エマ・ストーン、鬼才ランティモス監督との名タッグで新境地へ…青春映画のマドンナから演技派への軌跡
2023年に公開されたヨルゴス・ランティモス監督作「哀れなるものたち」で2度目の“オスカー女優”に輝いたことも記憶に新しいエマ・ストーン。「女王陛下のお気に入り」(2018年)、「哀れなるものたち」に続き、名コンビと言われるランティモス監督とタッグを組んだ最新作「憐れみの3章」が9月27日に映画館で公開された。今回は彼らがタッグを組んだ作品をはじめ、今や押しも押されもせぬハリウッドのトップ女優・ストーンの多彩なキャリアについて振り返る。 【写真】イメージがらり!「憐れみの3章」別章で“別人”演じるエマ・ストーン ■アメリカの学園コメディー映画でスクリーンデビュー ストーンは、1988年11月6日生まれ、アメリカ南西部のアリゾナ州スコッツデール出身。小学生の頃から演技に興味を持ち、スクリーンデビューは19歳の頃に出演したコメディー映画「スーパーバッド 童貞ウォーズ(邦題)」(2007年)だ。初期のストーンの印象といえば、同作や映画初主演を務めた「小悪魔はなぜモテる?!」(2010年)など、学校が舞台の青春映画での活躍が目立ち、特に初主演作ではまさかの“モテない女子高校生”を元気ハツラツとした姿でパワフルに好演しており、ストーンの魅力はハリウッドで広まっていく。 その後「アメイジング・スパイダーマン」(2012年)では、ヒロインのグウェン・ステイシー役に抜てきされた。学校一の秀才であるステイシーは積極的な性格で、自分の知性を生かしてスパイダーマン(アンドリュー・ガーフィールド)をサポート。新鮮なヒロイン像を見事に体現したことで多くのファンを獲得した。 2016年には彼女の代表作の一つであり日本でも大ヒットした映画「ラ・ラ・ランド」で、役者の卵・ミアを好演。同作は耳に残るポップなメロディー、そして若き才能を持つ主人公たちの苦境を映し出したヒューマンドラマとして数々の映画賞から評価され、ストーンも本作で初のアカデミー賞主演女優賞を獲得した。 ■欲望をむき出しに生きる女性を怪演し、2度目のオスカー女優に輝く 演じる領域を大幅に広げていき、着々と役者としてキャリアアップするストーンは、2018年に初めてタッグを組んだランティモス監督作「女王陛下のお気に入り」にて、没落した貴族の娘・アビゲイルを熱演。ランティモス監督が持つ不穏な空気感の漂う独特の世界観にしっかりと順応するストーンの絶妙な演技力が堪能できる。何よりも女王の寵愛を受ける立場を奪い合うアビゲイルとレイチェル・ワイズ扮(ふん)するレディ・サラの女同士の激しい争いは見ものであり、ストーン、ワイズ、そしてアン女王役のオリヴィア・コールマン(受賞)の3人がそろって「第91回アカデミー賞」で演技部門にノミネートされたのも納得がいく。 一方、ディズニーアニメーション映画「101匹わんちゃん」のヴィランであるクルエラの生い立ちを描いた、映画「クルエラ」(2021年)では主人公のエステラ(後のクルエラ)を演じるだけではなく、製作総指揮も担っており、多彩な才能を発揮している。 そして2023年に公開された「哀れなるものたち」では、自ら命を絶った不幸な若き女性・ベラ役。奇跡的に“生まれ変わった”状態で蘇生後、貪欲に世界を吸収していくうちに平等と自由を知り、時代の偏見から解き放たれていくベラを怪演した。「女王陛下のお気に入り」に続き、いや、それ以上に強烈な体当たりの演技でインパクトの強い役を演じきり、2度目の「アカデミー賞」主演女優賞を獲得した。 そんなストーン&ランティモス監督の最新作「憐れみの3章」は、愛と支配を巡る大胆不敵な3つのストーリーが展開され、同じキャストが各物語で違うキャラクターを演じている。ストーンは第1章ではリタ、第2章ではリズ、第3章ではエミリー役をそれぞれ演じ分けており、どのストーリーも奇想天外な内容となっており、その中でストーンは新境地に挑戦している。 2人の過去タッグ作である映画「哀れなるものたち」「女王陛下のお気に入り」は、ディズニープラスの「スター」で配信中。 ◆文=ザテレビジョンシネマ部