巨人で今季1試合登板のみも…他球団から高評価の「杉内俊哉2世」は
フォームの魔法を駆使して
中日の立浪和義監督は現役時代に杉内と対戦した際の衝撃を18年9月に週刊ベースボールのコラムで語っている。 「私が彼と初めて対戦したのは、2006年の交流戦でした。杉内選手は、前年、ソフトバンクで18勝4敗、防御率2.11と活躍。最多勝、最優秀防御率を獲得し、すでにパ・リーグを代表する左腕となっていました。私も映像では見ていましたが、打席で“ナマ”は、そのときが初めて。最初の感想は『速い!』です。体は決して大きくないのですが、150キロは出ていそうな速球に差し込まれてしまいました。ただ、何球目か忘れましたが、ふと球速表示を見たら『137キロ』でした。『なんだ、これは!』と驚いた記憶があります。 「要はフォームの魔法です。バッターのタイミングの取り方は、それぞれ違いますが、たいていはフォームの上半身、特に腕の動きに合わせていると思います。私も最初は、彼の上半身の動きを見ながら、普通のサウスポーに対峙するときと同じようなタイミングの取り方をしていたのですが、なかなかボールが来ない。我慢し切れず足を着いてしまい、『来た』と思ったときには、もう手元にあるという感覚でした。これは杉内選手の踏み出す足の着地の遅さから来ています。普通の投手が着くと思ったところから、さらに最後、ひと粘りをしてきます。しかも、非常に理想的なフォームで、体がまったく開かずにゆったりと来て、最後の最後に鋭く腕を振る。どうしても体が前に出てしまい、ボールと距離が取れずに差し込まれてしまうのです。私は当時、サウスポーの速球派は得意にしていましたが、あのときの杉内選手には確か2打数無安打で終わったと思います」 又木が巨人に入団し、コーチとなった杉内から指導を受けられるのは運命かもしれない。リリーバーで結果を残し、先発で存在価値を証明したい。 写真=BBM
週刊ベースボール