『虎に翼』最終週までの週タイトルの意味を解説 “虎”と“翼”が意味していたものとは?
第25週「女の知恵は後へまわる?」
「女の知恵は後へまわる」は、「女は知恵の回りが遅く、事が終わってからいろいろと考えつく」という意味。(※3) 少年法改正を審議する部会の委員となった寅子は、はじめから法改正ありきで進められる議論に異を唱える。また、若手の仲間たちと勉強会を開いていた朋一(井上祐貴)やその仲間たちに突然異動が言い渡され、司法の独立を守るためと語る桂場の行動に寅子は疑問を持つようになる。一方、航一(岡田将生)は上告された美位子の事件について、よねと轟から事件の概要を詳しく聞いたことで、尊属殺人重罰規定について最高裁で扱う意味を感じていた。予告では、美佐江(片岡凜)と思しき少女も登場した。 比較的短期間で一つ一つの問題を解決してきた『虎に翼』のなかで、唯一遺恨が残ったままにされているのが、新潟編に登場した美佐江の問題だ。新潟での美佐江との出会いから20年近く経ち、現在の寅子があの時の美佐江への対応にどのような感情を抱いているかが描かれるだろう。週タイトルから考えると、寅子が終わってしまったことに後悔する展開になることもあり得そうだ。
第26週「虎に翼」
最終週になる第26週は、女がついたことわざではなく、作品タイトルにもなっている「虎に翼」。「勢力のあるものに、さらに力強いものが加わることのたとえ」である(※4) 『虎に翼』は、一貫して“法の下の平等”を描いてきた。日本国憲法第14条にあるように、人種、信条、性別、社会的身分又は門地に関係なく、法の下では平等に扱われる。その人が生きたいと思う人生を邪魔する権利も、命を脅かす権利も誰にもないのだ。 『虎に翼』の作中の人物たちは、みな自分で自分の未来を選択し、生きたいように人生を歩んでいた。「虎に翼」とは、好きなように自分の人生を生きたいと願う人々(虎)に授けられた、“法の下の平等”という翼を表しているのかもしれない。一方で、“法の下の平等”に反していると感じるような事象は、現在も存在している。現代で感じる「はて?」についても、よく考えなければならないだろう。 どんな人もスンッとすることなく、自分自身の権利を守って好きな人生を歩んでいいというメッセージが込められた最終週となるか。 ■参考 ※1. https://kotowaza.jitenon.jp/kotowaza/4051.php ※2. https://kotowaza.jitenon.jp/kotowaza/1831.php ※3. https://kotobank.jp/word/%E5%A5%B3%E3%81%AE%E7%9F%A5%E6%81%B5%E3%81%AF%E5%BE%8C%E3%81%B8%E5%9B%9E%E3%82%8B-456003 ※4. https://kotowaza.jitenon.jp/kotowaza/917.php
古澤椋子