今こそ乗りたい絶版名車!ネイキッドブームの中でスポーティーさを追求した「XJR400」
足付きやハンドリングはネイキッドらしくフレンドリー
今回取材したのは、XJR400の中でも最初期のスタンダード仕様。スポーツ性にこだわった設計とはいえ、跨ってみると足つきは良好で、アップライトなバーハンドルにも自然に腕が伸びる。シート高770mmという数値は、400cc直列4気筒の中でも最も有名な「CB400SF」の755mmに比べればやや高いが、不安定感はまったくない。車体重量も178kgと標準的で、引き起こしや取り回しにも気負わない、とてもフレンドリーなフィーリングを感じさせる。
装備面では、ハイパワーのエンジンを支えるスポーティーなものを揃える。フロントサスペンションにはインナーΦ41mmの大径フォークを採用し、リアショックはツインながらリザーバータンクつき。ホイールは前後17インチで、リアには当時クラス最大レベルのワイドタイヤを装備。ブレーキは前後ともにディスク、特にフロントは298mmの大径フローティングディスクをダブルで備え、異形2ポッドのキャリパーで高い制動性能を発揮する。リアブレーキキャリパーも下付きで、こちらもフローティング風だ。 さらに外装パーツはサイドカバーやチェーンガードまでアルミ製となっており、ボルトもしっかりクロムメッキされた高級感あふれる仕上げ。エキゾーストは4on1の集合スタイルをとり、2、3番のエキパイを連結し排気脈動を下げる試みが施されている。18Lの直線的なシルエットのタンクはニーグリップ部分をえぐりこまれ、レトロなティアドロップ型とは一線を画した造形。「このタンクがカッコイイ!」というファンも多い。 先述のとおり、XJR400はネイキッドブームの中でも追及したスポーティーな特性で大ヒット。そして1996年を最後に、よりスポーツ性を重視したXJR400Rに集約され、スタンダードモデルはラインナップを終了した。しかしその人気は衰えることなくXJR400Rは2007年まで販売が続き、今また注目が集まる400cc空冷ネイキッドの中で価値を高めている。
XJR400(1993)主要諸元
・全長×全幅×全高:2,075×745×1,080mm ・ホイールベース:1,435mm ・シート高:770mm ・車重:175kg ・エンジン:空冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ 399cc ・最高出力:53PS/11,000rpm ・最大トルク:3.5kg-m/9,500rpm ・燃料タンク容量:18.0L ・変速機:6段リターン ・ブレーキ:F=ダブルディスク、R=ディスク ・タイヤ:F=110/70-17、R=150/70-17 ・価格:¥579,000(1993年)
西田 宗一郎