「シャローイングの動きね。アレ良くないよ」とデシャンボーがSNSで言及。改めて「シャローにする動き」の必要性について考えた【ゴルフメカニクス研究所 #14】
そもそもシャローにする動きは必ず入る
本質的には、ゴルフというのはインパクト次第でナイスショットかどうかが決まるので、良いインパクトを迎えるスウィングプレーンをいかにして構築するのかが重要になります。そのように考えると、アドレス、トップ、インパクトと、クラブシャフトが動くプレーンは通常刻々と変化しているわけです。 つまり一般的なスウィングでは、トップの「スティープ」なプレーンからインパクトの「シャロー」なプレーンに移行する動作が、多かれ少なかれ必ず入っています。 機械的に考えると「ずっとインパクトのプレーン上」でクラブを動かせればシンプルなのですが、画像Bで表現すると、ずっと赤い線の上をなぞるようにクラブを動かしていくと、トップの位置がものすごく低くなる窮屈なスウィングになると思われます。人体の構造的には、やはり首と右肩の間の空間に左腕が入っていくようなトップが自然になりますので、やはりこのプレーンのシフトが必要になってくるわけです。
ちなみに、「じゃあインパクトプレーンを最初からスティープにしておけば、終始同一プレーン上でクラブを動かせるはず」と考えたのがまさにデシャンボーのスウィングです。 確かにこれならばシャローにする動作を最小限にできますが、実際にはクラブの仕様も特殊なものにする必要があるなど難点はあります。 つまり一般的なスウィングにおいて「シャローにする動き」はやはり必要ということになります。
「シャローイング」のメリット
そこでもう一度「シャローイング」のメリットについて考えると、「シャローにする」ことに加えて、ダウンスウィングの中に両手が操作を行う意識を持つことで、発生しがちな諸問題を回避できる可能性がある、ということが考えられます。 そもそもアマチュアの場合、ダウンスウィングの早い段階で体が伸び上がってしまう「アーリーエクステンション」、その結果としてクラブが外から下りてくる「オーバーザトップ」という状態になり、さらにそこからインパクトに間に合わせるために「アーリーリリース」になる、といったことが連鎖的に起きやすくなっています。 本来ダウンスウィングでは、下半身や体幹の動きにクラブが「遅れて」くることでインサイドからスウィングできるのですが、ダウンスウィング初期でクラブヘッドを背中側に倒す「シャローイング」の操作を行う意識になることで、クラブの「遅れ」を作りやすくなるという「方法論」ではないかと思っています。 これに対してデシャンボーは、「ダウンスウィングで両手が右のズボンのポケットをかすめるように、『両手を下に動かす』ほうがいい」と動画の中では主張しています。 「両手を下に動かす」ということは、その動いてくる両手が入ってくるスペースが確保されているということであり、つまりこのコラムで再三登場してくる「ヒップクリア」(アドレスでお尻に引いたラインよりもボール方向に近づかない)の位置が必要になります。 重要なことは、「良いインパクトを迎えるには」という目標を見失うことなく、自分に合ったやり方を探していくことだと思います。
大庭可南太