東大生出題「これはどんな内容?」文章推測クイズ 文章の最初と最後を読めば話の全体像が見える
最後「私は普段は素通りする花屋の前で立ち止まり、少ないお小遣いでカーネーションを買うことにした。」 最初の部分では、誰かが「あすかちゃん」にカーネーションの花言葉の意味を教えています。最後の文章にも「少ないお小遣いで」とあるため、その話しぶりからして、女の子の友達同士でしょうか。最後に「私」がカーネーションを買っていることから、おそらく「私」が「あすかちゃん」なのでしょう。 「私」は物語の最初にカーネーションの花言葉の意味を知り、それから誰かに感謝の気持ちを表したくなる出来事があって、物語の最後には普段は素通りする花屋でカーネーションを買うに至ったのだろうと想像できます。
では、次の文章はいかがでしょうか? 最初「3年前、『こんな田舎出ていってやる!』と言って僕は故郷を飛び出した。」 最後「僕は3年ぶりに、実家のドアを開けて、大声で言った。『ただいま!』」 最初と最後だけを読むと、どうやら3年前に故郷を飛び出した「僕」が、3年ぶりに実家に帰ってくるという話のようです。 しかも、3年前は「こんな田舎出ていってやる!」と実家や故郷に対して否定的だった「僕」が、3年後には大声で「ただいま!」と言うまでに心境が変化しています。
ということは、おそらくこの物語では、3年前に喧嘩をするように故郷を飛び出した「僕」が、その後心境の変化があり、最後は故郷の実家に帰ってくる、という3年間の出来事が描かれるのだろうと想像できます。 また、「最初」と「最後」を読むことで著者の主張や文章のテーマをいち早く見つけるテクニックは、物語だけではなく評論文でも有効です。 最初「『巨人の肩の上に立つ』そんな言葉を残したのは、17世紀最大の物理学者、アイザック・ニュートンである。」
最後「現代の物理学は、彼の功績なくしては成り立たないものなのである。」 文章の最初では、アイザック・ニュートンの言葉が紹介されています。ニュートンのことを「17世紀最大の物理学者」と紹介しているので、筆者がニュートンを高く評価していることがわかります。 そして最後も、「現代の物理学は、彼の功績なくしては成り立たない」とニュートンの功績をたたえる文章となっています。 ■最初と最後の間にある要素 つまり、この最初と最後の間の部分には、アイザック・ニュートンの研究の内容や、それが現代の物理学にどのような影響を与えたのか、といった文章が書かれているはずです。
いかがでしょうか? 文章の「最初」と「最後」に着目して読むことで、筆者が伝えたかった主張やテーマをつかみやすくなります。ぜひ、みなさんも挑戦してみてください。
西岡 壱誠 :現役東大生・ドラゴン桜2編集担当