受験後の不登校、背景は 専門家に聞く「生徒に冷たい」進学校の実態
厳しい中学受験を乗り越えて進学した中高一貫校で不登校になる。そんなケースが後を絶たない。文部科学省の2022年度の調査では、不登校の私立中学生は全体の2.9%に当たる7255人。学業不振や入学・進級時の不適応が主たる要因となったケースが2割近くを占めた。公立中学生の1割程度と比べて高かった。なぜ起こるのか。防ぐにはどうすればいいのか。スクールカウンセラーの経験もある諸富祥彦・明治大教授(学校臨床心理学)に聞いた。 【画像】私立中の不登校、要因は? ◇ 受験で進学校に合格し、後に不登校になる背景には、学力競争があります。試験で選別されて同じような学力の生徒が集まるため、入学前にどれだけ勉強ができても、成績が低迷するリスクがあります。 宿題が大量に出たり、準備すべき試験が多かったりして、学習量を確保できずについて行けなくなるリスクもあります。学力や進学を巡る悩みが不登校につながりやすいと言えるでしょう。 中には実績につながらないような生徒に冷たい学校もあると聞きます。そうした学校では、登校を渋る生徒がいても別室登校などのケアをあまりせず、最終的には自主退学を勧めて切り捨てようとしがちです。 ■「学校選びを慎重に」 特に学力の高い子やその保護者は、進学先の学校の大学進学実績ばかりを判断材料にすることが多いのではないでしょうか。有名大学に多くが進学していても、その実績は成績上位層によるものです。 重要なのは、進学先で成績が低迷しても、元気に通い続けられる学校かどうか。保護者は学校選びを慎重にしてほしいと思います。
朝日新聞社