大量閉店が止まらないDVD販売店の救世主となるか!? 逆境の切り札として、あの”大人のアイテム”が挑む新たな取り組み
TENGAが作り出す“スタイリッシュ”な販売店
現在AV視聴の主流となっているオンデマンドサービス。端末とネット環境があればいつでもどこでもAVにアクセスできる反面、メーカーや運営側が動画を削除してしまえば、作品を見られなくなる可能性も。 「アダルトDVD販売店は、このような事態からの駆け込み寺的な役割も果たしている」と本多さんは話す。 「DVDであれば、一度発売された作品は実物がある限り見続けることができますし、販売店ではオンデマンドサービスで視聴できなくなった作品を探すことも可能です。そして、実店舗があれば多くの作品に触れるだけでなく、女優の握手会などのイベントも開催できます。 もし販売店がなくなると、過去の作品や女優と会う機会といった、業界が培った財産や文化も同時に消滅してしまいます」 このような窮地を救うべく立ち上がったのが「TENGA社」だ。TENGAは今や若年層を中心に圧倒的知名度を誇る存在だが、中高年層の使用者は多くないという課題を抱えている。 そこで、「TENGA社」は幅広い客層への商品の訴求と、販売店への若者の呼び込みという2つの目標を達成すべく、2015年からアダルトDVD販売店での「TENGA SHOP」の展開を始めた。 「明治書店 池袋店」のリニューアルを手がけた、「TENGA社」営業担当の裏山雅之さんは以下のように話す。 「アダルトDVD販売店への来店は中高年のお客様が多数を占めることが課題でした。そこで、若い世代にもお店に足を運んでもらうための施策として、居心地の悪さを感じず、安心してアダルトグッズを購入できる場を作ることにしました。 『明治書店 池袋店』ではお店の1階にTENGAやiroha・海外ハイブランドなどのグッズを展示し、年齢・世代・性別を問わず入店できる明るくカジュアルでスタイリッシュな雰囲気の空間を手がけました」 ブースにて展示・販売されているのは「TENGAオリジナルバキュームカップ」をはじめとしたTENGAシリーズ、女性向けプレジャーブランドのirohaシリーズ、そして吸引式バイブでおなじみの「ウーマナイザー」をはじめとした海外製のグッズ。これまでのアダルトDVD販売店とは異なるターゲットを想定した商品展開を行っている。 「取り組みの結果、2022~2024年平均で店舗売上115%、TENGAグッズは213%と売り上げを伸ばすことに成功しました。また、店舗には従来の男性客はもちろん、カップルや高齢女性の方まで、幅広い層の方にご来店いただいています。 また、最近ではインバウンドの影響もあり、外国人のお客様からの需要も増えています。アダルトDVD販売店での売上は、国内実店舗の38%を占めるまでになりました」