【虎になれ】岡田監督は佐藤輝明に大きな期待 9回サヨナラ機に前川右京に「待て」サインの真意
<阪神1-1中日>◇26日◇甲子園 前川右京の当たりはよかったんやないですか? 下位の中日相手に延長12回引き分け。その後、指揮官・岡田彰布の囲み取材が行われた。各社の虎番キャップたちに交じり、参加させてもらう。シブい表情の岡田に聞きたかったのは9回、もう少しでサヨナラ打になっていた一打だった。 【写真】引き分けに終わった瞬間の岡田監督 「あと1本」が出ないジリジリする展開。同点の9回、中日の4番手・松山晋也を攻め、1死一塁。そこで前川は右中間を破る二塁打を放った。一走・植田海は三塁でストップ。前川は悔しそうな表情だ。1死二、三塁のチャンスはつくったが思い切って突っ込んでいたらどうだったか。そんなことを思いながら聞いたのだが、それに対する岡田の答えにびっくりした。 「罰金やん。待て(のサイン)やん」-。前川の二塁打はカウント3-1からの5球目を打ったものだが、ここで岡田のサインは「待て」だったという。それを見落としたのかどうか。前川は打って出た。それでも安打ならいいではないか。だが実際に罰金を取るかどうかはともかく岡田の考えは別にあった。 「ああなったら佐藤輝は敬遠されるに決まってるやん。あそこは四球が一番、ええんよ」。前川が四球で出て、1死一、二塁。その場面をつくった上で4回に「もう少しで本塁打」という当たりを放っていた佐藤輝に期待をつなげたかったのだ。 はたして佐藤輝は申告敬遠され、1死満塁。ここで代打・渡辺諒は三振、今季サヨナラ打を放ったこともある小幡竜平も凡打に倒れた。その結果のドローだ。 独断で言って前川も4回に安打を放っていたし、期待していい気はする。それでも「ここは佐藤輝」と岡田は考えていた。前川を5番、佐藤輝を6番に置いていても、それだけ期待はしているということだ。 はっきり言って、これはいい傾向だと思う。岡田の就任以来、佐藤輝をめぐってはいろいろなことがあった。今季は長くファームに置いた時期もある。それでも、その潜在能力に岡田は希望を持っているのだ。もちろん若い前川も重要だが、やはり佐藤輝の本格的な復活なくしてチームの浮上もないということだ。 プラス、マイナス両面で常に虎党の注目を浴びる佐藤輝。もちろん岡田も大きな期待、希望を込めて起用しているのだ。それにしっかり応えてほしい。強く、そう思う。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)