「誤った使用は非常に危険」エスカレーターに挟まれ高齢女性死亡 事故の半数は60歳以上…対策は?
読売テレビ
高齢の女性がエスカレーターに挟まれて亡くなった事故。高齢者が増加する中、エスカレーターが抱える課題と未来の形とは。 80代の女性 「ひっかかって、ハッと思う時はある」 「ちょっとした差でひっくり返るからね」 「できるだけエレベーターに乗ろうと思っています」 12日、客とみられる80代の女性がスーパーのエスカレーターで首をはさまれて死亡した事故。 事故が起きたのは「下りエスカレーター」です。 警視庁などによると、高齢者が買い物などに使う手押しのカートを、両手で押していたとみられる80代の女性は、降りる際に転倒。エスカレーターを降りきった場所の手すりと床の間に首をはさまれたといいます。 実は、エスカレーターの事故は半数近くが60歳以上のもので、今回のような、手押しのカートを含む歩行補助器を使用していたケースは、ベビーカーの10倍に上ります。 事故が起きたエスカレーターとは別のメーカーの担当者は、警鐘を鳴らします。 事故とは別のメーカー「日立ビルシステム」小泉佳一郎さん 「両手がふさがるような状況になるかもしれないなと思った時は、エレベーターを探して乗ってもらうことが大事です。手すりにつかまって、黄色い線の内側に立って利用すれば、安全な乗り物ですが、誤った使い方をすると、非常に危険な乗り物であると認識いただければ」 高齢者が増加する中、重要な社会インフラとも言えるエスカレーターの課題と、未来のあるべき姿とは。 ◇◇◇ (渡邊 幹也アナウンサー) エスカレーターに挟まれて女性が亡くなった痛ましい事故がありました。 こうした事故は、2年で1550件起きていて、1日で計算すると、2件以上の事故が起きているということです。 エスカレーター事故というのは様々な原因があります。60歳以上のエスカレーター事故の原因を日本エレベーター協会が調査しました。 一番多かったのが「乗り方不良」で、40%となっています。例えば、黄色い枠線からはみ出しているとか、手すりを持たない、さらには、歩いてしまうというのが「乗り方不良」になります。 さらに、今回の事故の原因にもなった「手押しのカート」や「キャリーバッグ」なども、19%あるということです。この2つだけで、6割を占めています。 今回、事故の原因となった手押しのカートやキャリーバッグは、そもそも乗せてもいいのかということですが、答えは△なんです。ベビーカーや車椅子など人を乗せた場合はダメですが、△だということです。 なぜ、手押しのカートやキャリーケースが△なのかと言いますと、「大きさや形状など様々なので一律に禁止ができない」ということなんですよね。 すごく大きいと、乗せると危ないですけれども、常識の範囲内でということです。黄色い枠線がはみ出すようなサイズもダメですし、手すりが持てないようなサイズもダメだということです。 事故をなくすためにも正しいマナーで乗ってほしいんですが、皆さんがよくやってしまいがちなケースが「片側開け」です。江戸川大学の教授によりますと、片側開けは、高度経済成長期の大阪がきっかけです。「忙しくて急いでいる人が偉い」というのがあって、譲るのがマナーになったそうです。 ただし、時代は変化していて高齢化社会にもなり、「安心安全」を重点に、価値観がステップアップしているということです。 その中で、優しいエスカレーターというのが今できておりまして、全体的には「ゆっくり化」しているんですよね。歩行速度に合わせて減速するようなエスカレーターもあったり、万一の時、緊急停止ボタンが押された際には、すぐに止まってしまうと、ガッと前に行ってしまうので、ゆっくり停止するようなエスカレーターもあります。 さらには、ステップが1.5枚程度だったものが3枚になったことによって、乗りやすくなったり、降りやすくなったエスカレーターもあります。安全に配慮されたものが増えているということです。 ルールを守ることは当然なんですけれども、専門家の方は「安全最優先がマナー」と話しています。もともと高度経済成長期は譲るのがマナーでしたが、今は変化しているということで、皆さんも守りながら、事故を防いでいく必要があるなと思います。
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