「“おひとりさま”この先どうする? 超高齢化社会、旧来型の家族とは異なる互助システムを」ジェーン・スー
作詞家、ラジオパーソナリティー、コラムニストとして活躍するジェーン・スーさんによるAERA連載「ジェーン・スーの先日、お目に掛かりまして」をお届けします。 【写真】この記事の写真をもっと見る * * * 厚生労働省の推計によると、2050年に全5261万世帯の44.3%に当たる2330万世帯が1人暮らしとなり、うち65歳以上の高齢者が半数近くを占めるそうです。まさに、私。 土曜日の夜9時。私と友人2人は飲食店におりました。急な誘いにもかかわらず、2人は乗ってくれました。 彼女たちとの付き合いは四半世紀以上。新卒で入社した会社の先輩と後輩です。あの頃は、会社のやり方に憤っては、仕事終わりにファミレスやカフェに集まって、文句を言ったり改善策を考えたり。 あれから25年。もはや、先輩も後輩もありません。血気はすっかり消滅しました。アラフォーだった先輩は、いつの間にかあと2年で定年です。 私ともうひとりは未婚、ひとりはバツイチ。子どもは誰もおりません。自宅介護が必要な親もおりません。だから25年経っても夜遅くから会うことができるのです。 翌日曜日。午前中から友人5人とプロレスを観に行きました。メンバーは30代から50代。全員未婚で子どもナシ。だから日曜日の午前中から外出できるのですよね……。
30代の女性が言いました。「パートナーも私も子どもが欲しいと思っていないので結婚する理由が見当たらない」と。40歳以上のメンバーは「手術を受ける際に家族の同意が必要な場合もあるけどね……」などと答えつつも、誰一人結婚しておらず、後悔もしていないので声が弱々しい。説得力がありません。しかし、「結婚しなくたっていいよ!」と力強く肯定もできない。いま楽しくても、この先どうなるか、わからないからです。 先日、父親が入院しました。命に別条のない手術でしたが、80代半ばを過ぎて、私がこれを誰の助けも借りずにやるのは難しいとも思いました。今更ながら、私設セーフティーネットの必要性を感じました。 これからの超高齢化社会、行政がいま以上に高齢者を手厚くケアできるとは思えません。子どもがいても、介護を押し付けるのは無理な話。 公助なき互助は言語道断なれど、旧来型の家族とは異なる互助システムを考えないと、社会が立ち行かなくなるのは必然。テクノロジーが解決する場面もありそうですが、心許なく感じてしまうのも事実。 独身の友人が集まって住めるホームがあればいいけれど、かなりお金がかかりそう。さあ、どうしたものか。まだ人生は折り返したばかり……。 ○じぇーん・すー◆1973年、東京生まれ。日本人。作詞家、ラジオパーソナリティー、コラムニスト。著書多数。『揉まれて、ゆるんで、癒されて 今夜もカネで解決だ』(朝日文庫)が発売中 ※AERA 2024年4月29日-5月6日合併号
ジェーン・スー