国立市で新たな将棋の祭典が生まれる 「クニタチ名人戦」でファン700人歓喜
将棋イベント「クニタチ名人戦」が12日、東京・国立市のたまご広場で行われ、12人の棋士・女流棋士が参加し、イベントを盛り上げた。実行委員会によると、参加者は700人ほどにのぼったという。 JR南武線「谷保駅」に降り立てば、そこには将棋のお祭りがあった。野外での将棋大会、そのすぐ隣では大学生が焼きそばを売っている。女流棋士が作る特製カクテルに、棋士が入れるコーヒー、ひっきりなしに行われるトークショー。将棋ファンが欲望を詰め込んだようなイベントだった。 それもそのはず。今回が第1回である同イベントの実行委員会委員長・齋藤亮太さんは「僕も将棋は指すのですが、今はほとんど見て楽しむ”観る将“です。僕自身が大好きな棋士の先生方に来てもらい、”観る将“が大それた事をやってしまいました」と笑顔を見せた。 同市内の一橋大学大学院で客員研究員を務める齋藤さん。下北沢で行われているクラシックゲームの祭典「シモキタ名人戦」にあこがれ、長年シモキタ名人戦に参加している森内俊之九段に出会った際、「国立でもできたらいいのですが、どなたか参加してくださる棋士はいないでしょうか」と尋ねた。 森内からの「私でよければ」という言葉を初手に、イベント事業「ことえ」の代表・細谷優人さんや、国立市役所、国立市教育委員会、谷保駅北口商店会らと協力。2~3か月で国立での開催を実現した。 ここ数日は、ほとんど寝ずに準備したという齋藤さん。第1回を終え、「改めて、イベントは街づくりの一環としてとてもいいなと思いました」。細谷さんも「これだけ人が呼べたのはよかったなあと。国立にこれだけ人が集まったのはとてもうれしい。地域の方々も喜んでくださった」としみじみ。 トークショーや指導対局を終えた森内は「第1回というところでどうなるのかなと思っていましたが、予想以上に多くの方にお越しいただいて、よかったです。下北沢と国立はそれぞれ良さの違う街。両方の街の良さを出しながら、それぞれが発展していければいいなと思います」と期待した。 閉会式で代表のあいさつに立った木村一基九段が「1回目が楽しければ、2回目があるのかなあと皆さま期待すると思います」と話すと、ステージを囲んだファンからはあたたかく、大きな拍手が起こった。またひとつ、”将棋のまち“が生まれた瞬間だった。(瀬戸 花音)
報知新聞社