『スーホの白い馬』『くじらぐも』 国語の教科書検索サービスに懐かしむ声 出版社に聞いた教科書の歴史
■時代ごとに世情が反映されてきた教科書
『教科書クロニクル』で公開されている中で、一番古い教科書は1955年(昭和30年)度の『中等新国語 文学編』。主な収録教材として、正岡子規や国木田独歩の作品が掲載されています。木塚さんによると、この頃の教科書は物語よりも作文の書き方や話し合いの仕方など、テキストブックのような内容が多かったということです。その後、学習指導要領が改訂され、物語作品が多く載るようになったため、一般的に覚えられているのは1971年(昭和46年)以降の教科書ではないかといいます。 また、これまで教科書に掲載される作品には時代背景が反映されてきたといい、例えば高度経済成長期には、高速道路が全国に伸びたことを受けて『高速道路』という作品が収録されました。他にも、1970~80年代にはグローバル化の兆しからか、『スイミー』や『ずうっと、ずっと、大好きだよ』など外国の物語が積極的に取り入れられたそうです。 そして、2011年(平成23年)度版あたりからは、現代社会の課題を考えるテーマも。文章を書くための教材として、国語の教科書に収録された作文分野の題材に、“バリアフリー”や“環境保全”などが取り上げられているということです。