羽生結弦がメディア戦略でつまずいた「ずんだ餅」のトラウマとは
松井秀喜のケースは
思い起こせば、大谷や羽生よりもはるか以前に、世界を舞台に活躍し滞りなく結婚発表を済ませた先人がいる。2008年、ニューヨーク・ヤンキースに在籍していた松井秀喜(49)は、夫人が「一般人」であるとして顔や名前を公表しない代わりに、直筆の似顔絵を披露して話題をさらったのだ。 メジャーリーグで当時、日本人初の球団広報として松井を担当した江戸川大学教授の広岡勲氏に聞くと、 「あの時の会見では、できる限り松井の言葉で答えてもらうようセッティングしました。メジャーでは取材される側の義務と、する側の権利が規定されており、取材を拒むことはできない。隠し通すのは得策ではないし、スポーツ選手は自分がいかに競技に打ち込める環境を作るかが最も重要。そもそも結婚は相手あってのことですから、パートナーへの思いやりを第一に、バッシングを防ぐ対応が著名人には求められるわけで、結果的に世界中から祝福された大谷くんの対応は見事でした」 むろん本業で結果を出せば多くの問題は消えてしまう世界である。しかし本業に集中するためには周囲と共にある種のクレバーな戦略を立てる必要があるようだ。 「週刊新潮」2024年3月28日号 掲載
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