日本のサル真似が4月危機を呼ぶ? 尹錫悦政権、総選挙目前に株もテコ入れ
あまりに安易なパクリ
――株が上がったのだから、投資家も政府も喜んだ……。 鈴置:しかし、専門家は一斉に疑問を呈しました。「企業バリューアップ・プログラム」が公表された1月17日、韓国経済新聞は「『これは悪い株!』…烙印を押し恥かしめるという金融委の恫喝」(韓国語版)で、そのいいかげんさを厳しく指摘しました。 ・「PBR1倍未満」の企業に一律に烙印を押すのが正しいのか。なぜ、PSR(株価売上高倍率)やPER(株価収益率)など多様な評価手段の中からPBRを選んだのか、金融委員会は明快な説明をしていない。 ・金融委員会が作為的に選んだ「株価の低い企業」に烙印を押し、恥ずかしめることが正しいのかとの指摘もある。 これを読んだ人は金融委員会が「悪者」を作って株安の責任逃れをしているのだな、と思ったでしょう。日本が株価テコ入れの指標にPBRを使ったと知っている人は、金融委員会の安易さにため息をついたはずです。 その後も韓国紙には、日本は株価対策だけではなく腰を据えた改革を実施してきた。現在の株高はその成果だ。しかるに我が国は改革に取り組まず、日本の表面だけを真似しようとしている――といった批判が相次ぎました。
アベノミクスで輝く日本
中央日報・経済エディターのキム・ドンホ氏は「【コラム】眠りについた安倍氏が助けた…うまく行く日本の秘訣」(2月15日、日本語版)で以下のように書きました。日本語を整えて引用します。 ・日本経済が熱くなっています。2013年に発足した安倍政権が放った金融・財政・成長の「3本の矢」政策が輝き出しているようです。証券市場改革を推進し、女性の社会進出環境を拡充し成長を図りました。 ・その結果、日本はいまドル高の余波で円安となり、外国人の投資が続いています。中国を脱出した資金が日本に流れ込み、日経平均株価を1990年1月11日から34年ぶりの高値に引き上げました。 ・日本政府の経済再生は進行形です。非課税を拡大した新しい少額投資非課税制度(NISA)には1カ月間で1兆8000億円が集まりました。 ・大企業の規制を減らすために「中堅企業」の分類を新設するとのニュースも目に付きます。300人を境に中小企業と大企業に分けていましたが、今後は300―2000人を中堅企業とみて税制と買収合併で支援します。 ・PBRの低い企業を証券市場から追い出し、企業価値上昇の手綱を引き締めています。 ここまで日本を褒める記事は最近では珍しい。21世紀に入ってからというもの、アベノミクスを含め「日本はやることなすこと全てダメ」といった記事が韓国紙の定番だったのですが。 韓国の経済専門家の多くは「企業バリューアップ・プログラム」の動機が選挙対策と不純のうえ、決定過程もあまりに稚拙――と冷ややかに見ている。その反動で日本や故・安倍晋三氏を称賛している感じもします。