大谷翔平のDH専念は不利? MVP予想はベッツ、アクーニャJrの方が上位に…米メディアが予想する理由を探る
セイバーメトリクスからも劣勢の数値が
「大谷がMVPをとる可能性はそう高くないとみられているのは歴史のせいだけではありません。野球における客観的・統計学的研究であるセイバーメトリクスからも劣勢の数字が弾き出されています。『WAR』の数値ですよ」(米国人ライター) WARとは、「Wins Above Replacement」のこと。「Replacement」は代替選手の意味なので、大谷の代わりに入った選手と比べてどれくらい、チームの勝利に貢献したかを数値化したものだ。打撃、走塁、守備、投球などが加算されていくのだが、今季の大谷は投手登板ができない。昨季の大谷のWARは、「9・0」。内訳は「打者=6・6」、「投手=2・4」となっており、打者一本で勝負しなければならない。 「スポーツグリッド」の予想では、ベッツのWARは「8・3」。昨季、右肘の故障で終盤戦は出場できなかったとはいえ、44本塁打でア・リーグのタイトルを獲得したのに、大谷は「6・6」だった。二刀流の封印がMVP争いにおいて大きなマイナスとなったのは間違いないようだ。 「ベッツは昨季、40本塁打を放ち、107打点を叩き出しました。盗塁数は14。レッドソックス時代はシーズン30盗塁をマークした俊足です。守備面においても、外野手として現役最多の6度のゴールデングラブ賞を獲得し、今季はチーム事情でセカンドにコンバートされることが決まっています。マイナー時代の定位置は、セカンド。メジャーに昇格したばかりのころはどこでも守れる、本当の意味でのユーティリティプレーヤーでした。MVPの投票権を持つ野球記者たちが重視するのは、WARの数値です」(前出・同) 18年MVP受賞、昨年のナ・リーグMVP投票では2位。打撃、走塁、守備でも高い数値を弾き出しているベッツに対し、守備での加点ポイントがないDH専門の大谷が不利と予想されるのは当然だろう。大谷の過去2回のMVP受賞は、守備での加点ポイントがない分を「投手分野」で補ってきた結果でもある。 「DH専門選手でMVP投票を振り返ってみると、05年に打点王を獲得したデビッド・オルティーズ(48=レッドソックス16年引退)が2位だったのが最高です」(前出・現地記者)