「証拠開示は我々がいくらやっても無力」検証「袴田事件」(2)58年の歴史が問う司法のあり方 9.26再審判決
<袴田事件弁護団 小川秀世弁護士> 「証拠開示というのは、本当に我々がいくらやっても無力だったというのがあって。検察官のその時点での裁量だけで決まってるということですね」 指摘される「再審法」の不備はそれだけではありません。1度は袴田さんの再審開始が認められましたが、検察の不服申し立てによって取り消されました。結局、再審が確定するまでには9年の月日がかかりました。 日弁連は検察が決定に不服を申し立てる「抗告」は「冤罪被害者の救済を遅らせる」と批判しています。 <再審法改正実現本部 鴨志田祐美弁護士> 「検察官は言いたいことがあれば再審公判で有罪を主張すると、袴田事件でもそうでしたように、言いたいことは言えるわけですよね。(裁判を)やり直すかどうか決める場所でいつまでもやってる必要はないということで全く無用な制度だと思います」 「袴田事件」をきっかけに再審法改正の機運が全国的に高まっています。2024年、「再審法」の改正を目指す超党派の議員連盟が結成され、現在300人以上の国会議員が名を連ねています。 法務大臣に提出した要望書には、証拠開示の制度化、検察による抗告の禁止などが盛り込まれました。 <袴田さんの姉 ひで子さん> 「47年間、巖が拘置所で頑張った。その頑張りを再審法にぜひ皆様のお力で改正なりしていただきたい思っています」 30歳で逮捕された袴田さんは現在88歳。死刑の恐怖におびえながら過ごした半世紀近くに及ぶ獄中生活の影響で、精神が不安定となる状態は今も続いています。 あまりにも長い袴田事件の歴史は司法の在り方を変えつつあります。日弁連によりますと、12道府県の議会を含むおよそ350の地方議会では再審法改正を求める意見書が採択されています。 袴田さんの判決は来週、9月26日の午後2時から言い渡されます。
静岡放送