海を襲うトランプ関税…韓国海運業界はバルク船「バルクアップ」
韓国海運会社がトランプ政権2期目に急変する通商政策に対応するための準備を急いでいる。 海運業界によると、トランプ米次期大統領が関税引き上げ政策を本格的に進めれば、全世界の海運需要が10%減少すると予想される。海運業界は、米国が中国を牽制するための関税引き上げ措置を断行する場合、太平洋航路を中心に物流量が減ると見込んでいる。海洋振興公社海洋産業情報センターが発表した報告書「トランプ2.0時代と海運産業への影響」によると、トランプ氏はすべての輸入品に10-20%普遍的関税を適用し、中国産製品には最大60%の関税を課す可能性が高い。 ◆海運会社、来年上半期以降が峠 韓国海運会社は来年上半期までは中国のいわゆる「押し込み輸出」で世界海運市場の物流量が維持されると予想している。しかし来年下半期からはトランプ政権の対中関税引き上げの余波が海運業界にも影響を及ぼすと分析している。 問題はあふれる供給だ。今年のグローバル新規船腹供給量は305万TEU(1TEUは6メートルのコンテナ1個)と、過去最大を更新している。紅海事態以降この数年間で莫大な利益を得てきた海運会社が次々と船舶を増やして規模を拡大した影響だ。こうした状況の中「トランプ関税」の影響で物流量が減少する場合、収益性の低下が予想される。韓国海運協会のヤン・チャンホ常勤副会長は「世界海運会社が新型コロナ以降に船腹量を大きく増やした状況で物流量の減少は収益性悪化につながりかねないだけに、新規路線の開設や事業多角化などの対策の準備が必要だ」と話した。 ◆バルク船を増やして長期運送確保で危機対応 国内で米国の通商政策変化に最も敏感なところは、消費財など製品を船積みするコンテナ船を中心に先端を構築したHMMだ。HMMは相対的に弱いバルク船分野に注力して通商環境の変化に対応する方針だ。バルク船とは石炭・石油・穀物など原材料運搬船だ。 HMMはタンカー事業を強化するために最近、中型石油製品運搬船4隻の建造を発注した。HMMが中型石油製品運搬船を発注したのは過去の「現代商船」時代以来およそ20年ぶり。トランプ氏が伝統エネルギー産業に親和的な態度を見せているだけに、トランプ政権2期目には化石燃料の採掘が増える可能性があり、これに対応するものとみられる。 パンオーシャンもタンカーと液化天然ガス(LNG)運搬船の追加確保に動き出した。パンオーシャンは今年8-10月に液化天然ガス運搬船3隻の引き渡しがあったが、12月には2隻を追加で確保する予定だ。 海運・造船専門メディアのスプラッシュ247は「トランプ氏の政策基調は石油やガスの輸出に良い兆候であり、タンカー分野に潜在的可能性があるとみられる」と伝えた。 海運会社はこのほか、海運市況の沈滞期に備えて長期物量の拡大に動いている。10年以上の単位で契約される長期運送契約物量の場合、収益性は高くないが、市況の影響を大きく受けないため、不況期を乗り越えるための安定した収益源に挙げられる。また、大型荷主との連帯関係を構築できるという点も海運会社にはメリットとなる。