「これで100%賄える…」24歳証券マン兼社長が気付いた、誰も知らない「補助金制度」【天領盃酒造買収劇4/4】
老後2000万円問題が叫ばれて久しい。しかし、生活水準を落としたくないのであれば「2000万円でも足りない」。政府の経済的支援を当てにすることもできない。現代日本ではサラリーマンであっても資産を形成することが求められている。そんな人は会社を買おう。もしあなたが一般的なサラリーマンならば、既に会社を経営するノウハウを自然と身に着けているのだ。 【漫画】「しすぎたらバカになるぞ」…性的虐待を受けた女性の「すべてが壊れた日」 本連載では、平凡なサラリーマンが会社を購入し成功した例を紹介しながら、具体的に「どうやって資本家として成功するのか」を『いますぐサラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』(三戸政和著)から一部抜粋して紹介する。 『いますぐサラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』連載第44回 『「新幹線は必ずグリーン車」「接待交際費使い放題」…赤字企業に蔓延るヤバすぎる従業員【天領盃酒造買収劇3/4】』より続く
地元を巻き込んで成功
一番苦労したのが事業計画の作成です。10年分の事業計画を作って銀行に持っていきましたが、何回突き返されたかわかりません。最初のころに作ったものは全然駄目で、融資の担当者にすら会えませんでした。 銀行の窓口に事業計画書を持っていくと「担当者に渡しておきます」「見ましたが、これでは無理です。お帰りください」と言われ、また直して持っていくことの繰り返し。前職の証券会社の業務で関わった銀行の人にも事業計画を見せてアドバイスをもらいました。 事業計画作りで大きく前進したのが、有人国境離島法を知ってからでした。国境近くにある有人の離島で事業を行うと、国から補助金が入ることがわかったのです。 また、佐渡市役所に行き、「佐渡の酒を通じて佐渡の魅力をどんどん発信していきたい」と言って、佐渡市も巻き込むことにしました。
勝ち取った資金調達
できたばかりの事業承継・引継ぎ補助金の存在も知り、それも活用しながら事業計画を練り直しました。そうして2018年の1月、天領盃酒造の土地、建物、資産をすべて担保にして、日本政策金融公庫と地元の地銀の共同融資で必要な資金を100%調達することができたのです。 買収が完了すると、すぐに改革を始めました。造るお酒はすべて吟醸造りに変えました。 買収翌年の2019年には新ブランド「雅楽代」並びに「THE REBIRTH」をリリース。蔵元である私自らが酒造りの先頭に立つべく、「蔵元杜氏」に就任しました。 この年以降、毎年2000万円ほどの設備投資を行い、特定名称酒のラインナップを増やしています。同時に経費のほうは、年間1000万円を超えるコストカットを実現しました。 コロナ禍で売り上げが大幅にダウンした時期もありましたが、2023年3月にはついに債務超過状態を解消できました。今期は営業利益も1000万円を超えそうです。嬉しいことに商品の品質が上がったおかげで売り上げが大きく伸び、製造量も伸びています。来期は創業以来最高の売り上げ、利益を見込んでいます。
三戸 政和(日本創生投資代表)