第94回選抜高校野球 大阪桐蔭、金光大阪 夢託す、先輩からエール /大阪
<センバツ2022> 第94回センバツに出場する大阪桐蔭、金光大阪の両校からは、各方面に多彩な人材を輩出している。同窓生のうち、野球に携わってきた3人から、現役野球部員に応援の言葉が届いた。それぞれの気持ちを紹介する。【山口一朗】 ◆大阪桐蔭 ◇貴重な経験楽しんで フリーアナウンサー・伊藤明日香さん(38) 後輩たちの出場に「素直にうれしい。2歳の娘と観戦したい」と喜ぶ。高校時代はバレーボール部主将。2001年のセンバツ出場校が決まる日、校庭を黙々と走る野球部員の姿を見たが、結果は補欠校だった。「あの姿を伝えられるようになりたい」とアナウンサーを志した。 一度だけ、センバツで相手校を応援した。12年の第84回大会。熊本朝日放送のアナウンサーとして九州学院(熊本)を担当し、連日取材していたからだ。2回戦の相手が大阪桐蔭。反対側アルプス席で大応援団の迫力に圧倒された。藤浪晋太郎投手(現阪神)、森友哉捕手(現西武)を擁する母校は九学を5―3で退け、その勢いのまま初優勝を飾った。 コロナ禍の大会を迎える後輩たちには「貴重な経験ができると楽しんで。あの時は大変だったねと笑えるエピソードを作ってほしい」と語る。 ◆金光大阪 ◇頂点行けるんじゃないか 「TOKYO COOL」・カンカンさん(45) 横井一裕監督が主将だった当時の1年。野球部員は当時、学年に約50人いた。先輩に名前を覚えてほしくて、休み時間に教室を訪れ、当時の監督のノック姿などを物まねした。 同期にプロ野球・近鉄などで投手として活躍した愛敬尚史さん(現楽天スカウト)がいた。自身も中学時代は投手だったが、入学当初から実力差を感じた。3年間の練習で心が鍛えられたと語る。 OB会のLINEグループで流れてくる現役情報が楽しみだ。昨秋の近畿大会準々決勝・近江(滋賀)戦で0―6から逆転した時は「俺にもこの粘りがある。金光野球部で培われた」と感じた。 母校は3回目のセンバツ。甲子園未勝利だが「三度目の正直という。今回は全国の頂点に行けるんじゃないかな」。実家は甲子園のそば。ぜひ観戦したいといい、「いろんな人が応援している。魅了する野球を」と話す。 ◇頑張ったこと誇りに プロ野球元審判員・坂井遼太郎さん(36) 現役時代は控え捕手で、三塁コーチを担当。1学年上にセ・リーグ最多勝を2回獲得した中日の元エース吉見一起さん(37)がいた。 卒業後、母校で練習試合の審判を頼まれたが失敗し、試合を担当した本職の審判員に叱られた。それから1週間学び、翌週審判するとすごく褒められた。これがきっかけで米フロリダ州のジム・エバンス審判学校に進むことに。2007年にセ・リーグに採用され、10年から1軍の試合を担当。12年間在籍して350試合に出場し、17年にはオールスターの審判も務めた。 後輩には「仮に背番号がもらえなくても、3年間頑張ったことが将来は財産になるし、誇るべきだ」と語る。選手が全てではなく、自身のように審判やスタッフでも携われる。今は「野球界に恩返ししたい」と、大学野球をネット配信する会社を起業し、準備中だ。