深圳「男児殺害事件」と「放射能・汚染水デマ」の否定できない関連…日本にもいる「事実よりも偏見を広める」人々の「重すぎる罪」
日本の政治家・メディアも加担した
一方で、日本社会にも中露と足並みを揃え「汚染」を喧伝した勢力がいた。特に処理水海洋放出反対運動には、「井戸に毒」に等しい「海に汚染水」喧伝も少なからずあり、国政政党・政治家やマスメディア、著名人などもこれに積極的に加担してきた。 特に共産党、社民党、れいわ新選組は党首自ら「汚染水」と連呼し、立憲民主党は党の見解を「処理水」としつつも、「汚染水」喧伝を繰り返した党所属の議員を処分しなかった。中には韓国の野党議員と共同で「福島汚染水」との風評被害を広めた者までいた。 鳥海不二夫・東京大学大学院工学系研究科教授がSNS(X)での2023年7月の一か月間に「汚染水」「処理水」を含む投稿101万349件を分析した結果からは、処理水海洋放出に反対する人々には政治的党派性との強い相関が確認され、漁業者や福島県民などの当事者の不安・懸念とは乖離していたことが明らかになっている。処理水の「汚染」喧伝は中ロと同様に事実に基づかず、当事者のためでもなく、彼ら彼女らの政治的イデオロギーに基づいた言動であったということだ。 関東大震災発生から丁度100年を迎えた昨年から今年にかけては、多くのマスメディアや知識人らが「井戸に毒」の流言が引き起こした被害について語った。 東京新聞は【朝鮮人を殺したのは地震ではなく、差別と偏見】と報じ、朝日新聞は【関東大震災の朝鮮人虐殺、否定論やまず 公的記録、相次ぐ「発掘」】として、虐殺否定論に釘を指す。 一方で、両紙ともALPS処理水をどう報じてきたか。執拗に「汚染」を強調する表記を繰り返し、安全性が不十分な汚染水が海洋放出されるかのような報道を散々繰り返してきたではないか。 参考:【原発処理水を「汚染水」と呼ぶのは誰のためか…?「風評加害」を繰り返す日本の「異常なジャーナリズム」に抗議する】 【東京新聞の処理水問題「印象操作記事」を日本ファクトチェックセンターはどう考えるのか】 【原発「処理水」を、なぜマスコミは「汚染水」と呼び続けたのか】 そればかりではない。「世界平和アピール七人委員会」「日本カトリック正義と平和協議会」「原子力行政を問い直す宗教者の会」などは、トリチウムが生体濃縮されリスクをもたらすかのような非科学的な主張も公言した。「平和」とは、非民主的な覇権主義国家の差別的プロパガンダと足並みを揃えることなのだろうか。 TBS「サンデーモーニング」出演者の田中優子氏は、処理水放出後の中国による禁輸措置について「中国が日本産水産物の輸入を停止した時、多くのメディアが中国を非難したことに、私はびっくりしたのである」「近隣に迷惑をかけたのはどちら?日本だ」と、中国側の対応を正当化するかのような立論をしていた。 同じTBS「サンデーモーニング」に出演するジャーナリストの青木理氏は2021年5月2日、同番組中で「原発事故をこの国は起こし、10年たっても皆さんご存じの通り、汚染水を放出するという話をしている」と語った。2020年には「書店にはヘイト本もあふれていますが、こうした言説や風説の流布によって、かつて関東大震災で多くの朝鮮人が虐殺されたわけです」と語っていたにもかかわらず、である。