うちの館長が見つけました 福岡市科学館で「新種はっけん!展」
全国を調査して次々に発見
九州大を退職した矢原館長は、環境省の依頼を受けて全国の絶滅危惧植物の調査プロジェクトに携わりました。その過程で各地を歩く中、「これは今までの種類とは違うんじゃないか?」という植物にいくつも巡り合います。
例えばセリ科の植物「セントウソウ」。福岡で見慣れている種類と、岐阜や宮崎などで生えているものとでは、見た目に違いがあるそうです。
新たな鑑定技術で詳しく解析したところ、同キャンパスや舞鶴公園(福岡市)などに自生しているのは新種だと分かり、矢原館長は「ツクシセントウソウ」と呼ぶようにしました。「同じだと思っていたのが、実はいくつもの種に分かれていたんです」 ほかに、セリやノビルも1種類だけと考えられてきましたが、どちらも2種あることが分かりました。矢原館長は「サンプルを調べたら、私たちが普段食べているセリが新種だったんです」と教えてくれました。
科学が好きな子どもたちへ
「新種はっけん!展」では、愛用の図鑑、全国を歩いて調べた研究成果などをまとめて紹介します。 矢原館長が見つけた121種の植物は、約3メートル四方のスペースで、写真と名前を一覧できるように展示します。そばには植物の特徴を検索できるタブレットもあり、詳しく調べることができます。
ほかにも、桃色の新種のウツギの標本や、採取したツクシセントウソウの鉢植えなども並びます。 会場では、植物や標本を観察しながら行う塗り絵、植物の名前を探し当てるビンゴゲームも行う予定。ビンゴをクリアするとオリジナル缶バッジがもらえます。関連イベントも計画しており、館長と一緒に新種を探しに出かけるフィールドワークや、研究の裏話などが聞けるサイエンスカフェなども開催(いずれも事前予約制)します。
矢原館長は「自分が住んでいる身近な場所にも、こんなに多様な生き物がいるということに気づいてくれたらうれしい」と話します。「世界は発見に満ちています。いろんなことに興味を持って、気になったことはたくさん調べてみてください」
【新種はっけん!展】 会 期:2024年4月26日(金)~5月26日(日)/火曜休館(4月30日は開館) 開館時間:9:30~21:30 開催場所:福岡市科学館 5階オープンラボ(福岡市中央区六本松4-2-1) 料 金:無料
読売新聞