<震災3年>「あまちゃん」の“地元”で起きた意識変化
昨年、NHKが放送した朝の連続テレビ小説『あまちゃん』は、アイドルを目指す若者を主人公に、都会と地方、80年代懐古、そして東日本大震災に触れながら、登場人物達の人間模様を描いてヒットしました。半年間の平均視聴率は、関東地区で20%超え。ドラマの舞台は東北の架空のものとなっていますが、モデルとなった三陸鉄道や、ロケ地の岩手県久慈市には、ドラマを観たファンが訪れて賑わいを見せました。ファンの間では、ドラマのストーリーや独自の創作世界を描き出した「あま絵」も登場し、プロのマンガ家達がこぞって「あま絵」を披露するなど、社会現象ともなったのです。 このドラマで、最高視聴率27.0%を記録したのが9月16日に放送された第145話。震災で津波被害にあった東北で暮らす主人公達が、復興に向かう姿を描いた回でした。主人公のアキは、「復活に向けてのチャンスだ。真剣にやってもらわないと困るんだ」と周囲の大人達に発破をかけていました。さて、ドラマが終わって5か月。ロケ地となった久慈市は、現在、どうなっているのでしょうか。
ドラマ終了後も観光客途絶えず
市の観光課によると、2013年4月から14年1月までに久慈を訪れた観光客は約149万人。前年度同期間が約93万人ですから1.6倍にもなります。久慈広域観光協議会が8月から12月に行ったアンケート調査では、観光に訪れたおよそ57%の人が、訪問理由に「あまちゃんのロケ地」としました。 3月4日、同協議会の久慈三紀さんに話を聞くと、ドラマが終わってからも『あまちゃん』を目的にした観光客は途絶えないと語ってくれました。 「いつもなら、お正月も終わって観光客も減る時期なのに、今でも『あまちゃん』を見ていたというお客さんが来てくれています。男の人も女の人も、とくに若い人が目立ちます。あとは海外からのお客さん。こないだも、韓国のソウルから来たと言う人がいて、韓国でドラマを見ていたから、札幌の雪祭りの帰りに久慈に足を運んだって。こんな事は今までになかったですよね」 今年4月には、念願だった三陸鉄道が完全復活して開通します。しかし、その一方で、「海女センター」の再建は今年度も間に合わず、地元の水族館「もぐらんぴあ」の本格営業も来年以降になることが決定しました。いずれも当初の計画よりもスケジュールが遅れています。震災の影響が少なからずあるのです。 久慈市では、そうした観光インフラが本格的に復活していくまで、『あまちゃん』効果で訪れた観光客に魅力を感じてもらい、リピーターを作り出す事が当面の課題となります。 そんななか、ドラマの影響で街に活気が出てきました。