「配り切れない量の荷物の配達を指示される」 “アマゾン配達員”が行う労働訴訟の第4回期日、会社側は「就業規則」を裁判所に提出せず
複数の配達員らが労働環境の悪質さを訴える
解雇の有効性に関する会社側の主張は「指定された時間に誤配なく商品を届けられなかったことは、解雇事由にあたる」と要約できる。 一方で、「配達員らはアマゾンが開発したアプリの指示に従わされていた」「そもそも配り切ることが不可能な量の荷物の配達を指示されていた」と弁護士らは指摘する。 若葉ネットワークに対しては、今年5月、配達員ら16人があわせて1億円以上の残業代の支払いを請求する訴訟も提訴されている。 今回の記者懇談会では、原告の男性2名や、原告らと同様に横須賀市内のセンターで勤務している配達員らがコメントを述べた。 「裁判は昨年末から始まっている。残業代請求訴訟も始まったので、先は長いが、めげずにがんばっていきたい」(原告Aさん) 「なんとかがんばって勝てるように、先生たちにお願いしたい」(原告Bさん) 「配達中に足を滑らせて転倒し、頭から流血するケガと片足の肉離れを起こした。現場の救急士の判断によって労災病院に運ばれたにもかかわらず、会社側は労災と認めるのを拒む。 身を粉にしてがんばっても報われない努力、報われない給料。働き方や会社のあり方、配達員に対する配慮を見つめ直してもらいたい」(配達員Cさん) 「アマゾンに限らず、軽貨物配達に関わる会社の大半が、実質は雇用契約であるにもかかわらず、請負契約を偽装していると思う。ネットスーパーやルート配送は、宅配よりも裁量がないため、労働環境はさらに悪質。個人事業主としての労働裁量の自由は、何一つない。 配達員は長時間労働をしており、疲労により休みの日は寝て過ごすしかない状態だが、十分な給料を得られない。搾取が続いている現状を報道してほしい」(配達員Dさん)
20日にドキュメンタリー映画が上映
11月20日、東京都・千代田区の連合会館で、ドキュメンタリー映画『Amazon配達員 送料無料の裏で』(土屋トカチ監督)が上映される。同作は、オンラインでの閲覧も可能になる予定。懇談会では、製作に関わったジャーナリストの浦田誠氏が、同作の内容を紹介した。 「アマゾンに関わる労働組合については、海外では倉庫労働者によるものが主なのに対して、日本では配達員が先に組合を作った点に特徴がある。 世界を広く見ても、『アマゾンフレックス』や『デリバリープロバイダ』などの働かせ方が偽装請負であることは間違いない。どちらの労働者も、アプリによりアルゴリズムの支配下に置かれている。 アメリカではドナルド・トランプ氏が大統領に当選したことにより、これから労働運動は『冬の時代』を迎えてしまう。アメリカの仲間を応援するためにも、日本の労働者も声を上げていることを伝えたい」(浦田氏)
弁護士JP編集部