どうなる日本の最低賃金 世界的に見てかなり低い「1000円」超えるか? 審議会で議論大詰め
■地方から人材流出も… 最低賃金が「地域格差」を生む現実
時給で働く人にとって、最低賃金のアップは切実な問題です。そこで、次に考えてみたいポイントが「理想の最低賃金がいくらぐらいなのか」ということです。 先ほど、最低賃金の全国平均は「時給961円」とお伝えしましたが、この最低賃金、実は都道府県別に決められています。 最高は東京の「時給1072円」。これに対して最低は、青森、秋田、愛媛、高知、九州5県と沖縄の計10県で「時給853円」。「219円」の格差があります。 こうした「地域格差」が、地方から都市部への人材流出を招いているという指摘もあります。
■全労連は「時給1500円」を主張 経団連は“中小企業への影響”を懸念
では、理想の最低賃金とは、いったいいくらなのでしょうか? 働く側、労働組合の全国組織である「全国労働組合総連合(全労連)」がかねてから主張しているのが「時給1500円」です。 これでも、月給に換算すると「22万5000円」(時給1500円×150時間)です。ただし、これはあくまで労働者側の試算です。
一方、経団連など給料を出す経営側の主張としては、「今年度の最低賃金を引き上げることの必要性は理解している」としながらも「大幅な引き上げとなれば、地方の中小企業を中心にコストが増えて耐えられなくなり、廃業や倒産が増える」という懸念があるということです。
■地方・中小企業の生産性を上げる支援が必須 「自動化」「IT化」の即効性に期待
では、現実的にはどうすればいいのでしょうか? 経済評論家の加谷珪一さんに聞きました。 加谷さんは、最低賃金を上げるメリットとして「低賃金で生活が大変だった人への支援、社会保障的な効果がある」といい、一方のデメリットとしては「地方企業の経営は苦しくなる」といいます。 地方企業の苦しさについて加谷さんは「政府側の支援で乗り越える努力が必要。特に、即効性があるのは『自動化』『IT化』で、地方の企業の生産性を上げていく支援」だといいます。 ◇ 最低賃金の目安が1000円を超えるかは、今まさに行われている審議会で決まります。日本の経済を元気にする、実りある議論を望みたいと思います。 (2023年7月26日午後4時半ごろ放送 news every. 「知りたいッ!」より)