寛一郎「皆さんのご協力がなければ」 主演作「シサム」のロケ地となった北海道・白糠町に感謝
北海道の大自然を背景にアイヌと和人との歴史を描いた人間ドラマ「シサム」(「ム」の正式表記は、小文字表記)の初日舞台挨拶が9月13日、東京・TOHOシネマズ日比谷で行われ、主演の寛一郎、共演する緒形直人、和田正人、平野貴大、サヘル・ローズ、中尾浩之監督が出席。また、ロケ地となった北海道・白糠町長の棚野孝夫氏が駆けつけ、寛一郎に映画公開を祝す花束を贈呈した。 【フォトギャラリー】超豪華漫画家が本作のキャラクターを描き下ろした応援イラスト(全12種) 寛一郎は蝦夷の地に赴き、異なる文化や風習に触れることで、アイヌのもつ精神や理念に共鳴していく武家の若者を熱演。およそ1カ月にわたり、白糠町に滞在し「皆さんのご協力がなければ、この映画は完成できなかった」と感謝を述べ、「とても集中できる環境。自然がたくさんありましたし、アイヌの血をひく方々からお話も聞けました」と役作りへの強い影響も語った。 本作については「過去だけではなく、今日にも通じるさまざまな問題を描いている」とし、「この問題を僕らが考え、模索し、未来に提示する義務があると思っています」と観客に訴えかけていた。 白糠町長の棚野氏は「アイヌの映画を、史実に基づき製作していただけたことに意味がある。間違いなくアイヌの皆様にとって、新たな一歩を踏み出し、また元気に頑張っていくぞという思いになっていただける」と、本作の意義を熱弁。「アイヌの神様であるカムイが応援してくださったおかげ」と感無量の面持ちだった。 先輩の松前藩士役で共演する緒形は「本当に芝居に真摯に向き合っている。目線もいいし、持っている華がありますよね」と寛一郎を絶賛。撮影はヒグマが生息するエリアでも行われたといい「左目を隠し、片足も引きずる役どころだったので、もしもヒグマが現れたら、真っ先にやられるのは俺だったなと(笑)」(和田)、「爆竹を鳴らし、ヒグマ避けをした」(平野)と苦労を振り返った。 また、複雑な事情を抱えるアイヌの女性を演じたサヘル・ローズは、「現在進行形で人類に起こっていることに重なるものがある。今だからこそ問われる問題を扱った日本映画が生まれたことをとても誇りに思います」と真摯な言葉。中尾監督は「大切にしたのは、題材に対して謙虚に挑むこと。強いメッセージや答えを提示するのではなく、ひとりひとりに感じてもらい、いつか自分なりの答えを見つけてもらえればうれしい」と話していた。