赤ちゃんのお世話が優先に

マンガ「いきなりお兄ちゃんになった君へ」のカット（伊藤ぽんぽこさん提供）

　甘えたい気持ちと葛藤する、家族思いの息子について描いたマンガ「いきなりお兄ちゃんになった君へ」が、Instagramで2300以上のいいねを集めて話題となっています。 【マンガ本編】妹ができて我慢ばかりの息子　母を感動させたある日の「ひと言」とは？ 　赤ちゃんのお世話が優先になり、兄である息子には、つい我慢をさせてしまうことが多い毎日。我慢の反動なのか、息子は夜泣きが増えてしまいます。しかし、そんな息子から家族を大切に思う純真な気持ちを伝えられた母は……。読者からは、「えらい！」「うちも同じ状況です（泣）」「きっと家族みんなで成長する時期なんですね」などの声があがっています。 　このマンガを描いたのは、InstagramやX（旧：Twitter）でマンガを発表している、エッセイ漫画家の伊藤ぽんぽこさんです。伊藤ぽんぽこさんに、作品についてのお話を聞きました。 ーー息子さんが甘えてくるのは、特にどんなときですか？　また、どのようなときに我慢させてしまっていると感じますか？ 　普段は「お兄ちゃん」として頑張ってくれているのですが、やはり「眠たい」「疲れた」というときは思いきり甘えたいようです。これは大人も同じですね。娘の状況で、息子の希望をすぐに叶えてあげられないとき、我慢させているなと感じますね。娘はまだ赤ちゃんなので、授乳や眠くて泣いているとずっと放置するわけにもいかず……。 ーー息子さんから「宝物なの」といわれたときの気持ちを教えて下さい。 　とても幸せな気持ちで満たされました。親の都合に振り回しているのに、こんなに純粋でまっすぐに、私と妹のことを大切に思ってくれている息子のことを、もっと大切にしたいと感じました。そして、頭の片隅で「トト（夫）も入れてあげて～」とも思いました（笑）。 ーー息子さんの気持ちに応えるため、今後「こうしよう」と意識していることはありますか？ 　定期的に、息子と私の「ふたりの時間」を作ろうと思っています。この前、娘が寝ているときに、ふたりでこっそりとアイスを食べたのですが、息子がとても幸せそうな顔をしていて。独り占めの時間を作ることで、息子に周りを気にせず思いきり甘えてほしいなと思っています。 ーー今回のエピソード以外にも、息子さんを「優しいな」「妹思いだな」と感じた出来事はありますか？ 　たくさんあるのですが、印象に残っているエピソードがふたつあります。 　ひとつは、息子のメンタルを守るために、息子自身が「妹、かわいい」といったときにしか、私は娘をかわいいといわないようにしているのですが、最近は息子の方から「かか、ちーちゃんかわいいでしょ？　ね？」と、私の「かわいい」を催促するようになってきたことです。 　もうひとつは、散歩中に拾った草や花を「ちーちゃんにあげる！」と、妹にプレゼントしてくれたことです。これまでは真っ先に私にくれていたのですが、すっかり妹の優先順位が1番になっているようです。 ーーこの作品の制作には、どのくらいの時間がかかりましたか？　また、描くときにこだわったポイントを教えてください。 　4～5時間程度です。母目線で見た息子の感情の変化や情景が浮かぶようなシーンを入れることを意識しました。 ーー作品について、どのような意見が寄せられていますか？ 　私の作品は、育児中のお母さんが読んで下さることが多いのですが、そんな皆さんからの共感の意見をたくさんいただきました。「私だけじゃないんだな」と、安心したことをよく覚えています。 ーー今回のマンガを描いたきっかけを教えて下さい。 「息子ファースト」にしたくてもしきれないモヤモヤを抱えたからです。つい息子に「ちょっと待ってね」と我慢させてしまうことが多いので、そんなときにこの作品を読み返し、今後は「ありがとう」をたくさん伝えていきたいなと思っています。