パンや鶏肉にも含まれる「ナイアシン」心臓病リスクの上昇に関連する可能性【研究結果】
※この記事は、海外のサイト『Prevention』で掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。
多くの食品に含まれ、強化シリアルやパンに添加されているビタミンBの一種であるナイアシン。その濃度が高いと、心臓病のリスクが高まる恐れがあることが最新の研究で示唆された。
医学誌『ネイチャー・メディシン』に掲載された研究によると、ナイアシンの濃度が高くなると炎症が誘発され、血管に損傷を与える可能性があることが分かったという。この研究で研究者らは、新たな心臓病の危険因子特定に役立つ血液中の共通マーカーを探すべく、心臓病の評価を受けた1,162人の血液サンプルを分析した。
研究者らは、体内のナイアシンが過剰になると生成される4PYと呼ばれる物質が、心臓発作、脳卒中、またはそのほかの心臓病を起こした患者と強い関連性があることを発見。さらに研究者らは、4PYが直接血管炎症を誘発することも発見した。血管炎症は血管に損傷を与え、時間の経過とともにアテローム性動脈硬化症(動脈壁内および動脈壁上に脂肪、コレステロール、そのほかの物質が蓄積すること)を引き起こす恐れがある。
研究参加者の4人に1人はナイアシンを過剰摂取していたと見られ、血液中の4PY濃度が高かった。しかし研究者らは、どの程度のナイアシンが健康に悪いのか分かっていない点も指摘している。この研究は、ナイアシンがもたらす心臓の健康への影響について多くの疑問を投げかける。今回は、知っておくべきことを専門家が解説してくれた。
ナイアシン(ビタミンB3)とは?
米国立衛生研究所(NIH)によると、ビタミンB3とも呼ばれるナイアシンは水溶性のビタミンB群に属する。「ナイアシンは、サプリや食べ物など体外から摂取する必要がある微量栄養素です」と説明するのは「キートリー・メディカル・ニュートリション・セラピー」の共同経営者である管理栄養士のスコット・キートリーさん。 栄養不足による病気の発症リスクを下げるため、ナイアシンは小麦粉、パン製品、強化シリアルなどに添加されている。NIHによると、鶏肉やターキーの胸肉、サーモン、ひまわりの種などの食品にも含まれるという。 ナイアシンはNAD+という電子伝達体に分解され、エネルギー代謝、脂肪酸の分解、DNA修復、細胞シグナル伝達、抗酸化防御にも重要な役割を果たします、とキートリーさん。「ナイアシンは皮膚を保護するより多くの機能をもつナイアシンアミドにも分解されます」と彼は補足する。ナイアシンの推奨摂取量は、成人男性で13~15mg、成人女性で10~12mgだそう。