決算好調な「くら寿司」&「スシロー」、株価は明暗が分かれる結果に…要因は、株主優待と寿司ネタ?
ライバルのスシローは好調
いっぽうで、ライバルのスシローを運営するFOOD&LIFE COMPANIES(3563)の株価は年初来高値を更新中の快進撃となっています。 2024年11月8日に発表された2024年9月期は、①売上収益は361129(百万円)、②前年比19.7%、③営業利益23384(百万円)、④前年比112.6%と好調。
さらに、新年度である2025年9月期は、①売上収益は408000(百万円)、②前年比13%、③営業利益26000(百万円)、④前年比11.2%と二桁の増収増益の強気予想で、過去最高を更新となります。 当社は、国内スシロー事業が、売上の65%程度、海外スシロー事業が25%程度ですが、どちらも堅調で、とくに着地した2024年9月期に関しては、海外スシロー事業は、前年比39.3%と売上収益を伸ばしています。営業利益率でみると、国内スシローが5.97%、海外スシローが7.8%と海外スシローのほうが高く、今後は、海外売上比率を40%まで伸ばしたいという意向です。 そして、優待に関しては、2024年9月末贈呈分より従来の1.5倍に拡充と、くら寿司とは真逆の方針を取っています。10時半に決算発表があり、その日の株価は5.2%上昇と、投資家からは好感されました。
ネタの違いが明暗を分けた?
このようにくら寿司は弱気、スシローは強気と真逆の見通しになったわけですが、その違いはいったいなんでしょう? 直近発表された11月の月次売上を比べてみます。 くら寿司は、既存店の客数は①前年比99%で減少、客単価は②100.4%とほぼ変わらずのため、売上は③99.4%と減収です。
一方、スシローは、既存店の客数①前年比105.3%で増加、客単価は②102.5%と増加、売上は③109.2%と増収です。 くら寿司は、原宿や銀座などインバウンド客が多いエリアで、寿司、天ぷら、団子などを作る様子が見える屋台を設置するなど、海外の人が喜びそうな業態のグローバル旗艦店をオープンしています。海外旅行者がこれだけ増えている中、業績の後押しになってもよさそうです。また、他の大手寿司チェーンではSNSでの不衛生な投稿のリスクを避けるため、回転レーンでの提供を取りやめる店舗が増えていますが、くら寿司は回転レーンでの提供を継続しています。ほんとうの”回転”寿司であることは、海外旅行者を惹きつける要因となるはず! それなのに…。 損益計算書を比較してみると、両社の減価率の違いが気になります。くら寿司は40.7%に対して、スシローは43.1%です。これは、スシローのほうが、よいネタを仕入れている可能性があり、これが顧客満足度の向上につながっているのかもしれません。つまりシンプルにおいしいほうに客がついた!ことになります。ちなみに、販管比率は、くら寿司が56.8%、スシローは50.4%とくら寿司のほうが高いので、ネタ以外のマーケティング費や、広告宣伝費などにお金がかかっている可能性があります。 くら寿司は、ビッくらポン!という3回に1度は必ず当たるカプセルトイのおまけくじがあります。こういった仕掛けは集客の一助となるのかもしれませんが、やはりお寿司はネタで勝負のほうがよいようです。
スシローは年初来高値を更新中
2024年の株価を比較するとくら寿司は、4月を高値に下落基調で、なんとか年初来プラスを維持していましたが、先日の決算発表を期にマイナス10%まで落ちてしまいました。一方のスシローは、9月から上昇トレンドが継続しており、年初来20%プラスで、年初来高値を更新中です。 ほんとにネタの違いが両社の明暗を分けたのか、近日中に確認する必要がありそうです。 ※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。
藤川 里絵(個人投資家/CFP)