<八重山教科書問題>問われた国と地方の教育の「責任」
「戦後レジームからの脱却」とせめぎ合い
かつて教育長の任命承認制度(都道府県・指定都市教育長は文部大臣の、市町村教育長は都道府県教育長の承認が必要)があった時代には、国からの指導・助言には強制力があると教育関係者には受け止められていました。それが地方分権の流れを受けて、任命承認制度は1999年に廃止。指導・助言には法的拘束力がないことも明確にされました。 一方、「教育に関する最終的な責任は国が持つ」というのが第1次、第2次を通じた安倍内閣の方針で、第1次内閣の2007年には教育委員会の法令違反や誤りによって教育を受ける権利が侵害されていることが明らかな場合、是正要求を行うとした規定を地方教育行政法に盛り込みました。 教育に責任を持つのは、国か地方か――。戦後教育改革以来の古くて新しい課題が、「戦後レジーム(体制)からの脱却」を目指す安倍内閣とのせめぎ合いを見せた一端だったとみることもできそうです。 (渡辺 敦司/教育ジャーナリスト)