「梅毒」の新規感染報告件数…過去最多の前年を上回ったのは22都府県
国立感染症研究所は22日、感染症発生動向調査(IDWR)速報データ第41週(10月7日~10月14日)を発表した。 梅毒が疑われる場合の対処法 日本一の性感染症治療医が教える 梅毒の新規感染報告件数は新たに205件が加わり、年初からの累計数は1万1431件となった。現在の方式で統計を取り始めて以来、過去最多を記録した前年同期の累計数1万1852件に比べて、マイナス421件となった。 この数字は第34週マイナス660件、第35週マイナス597件、第36週マイナス549件、第37週マイナス495件、第38週マイナス505件、第39週マイナス494件、第40週マイナス418件と推移。徐々にマイナス幅が縮小してきたが、今週わずかに改善した。この数字が前週より「悪化」は19道府県、「変わらず」が10県、「改善」が18都県だった。 ちなみに第41週時点で過去最多の昨年を上回ったのは22都府県で、下回ったのは25道府県。上回った件数が目立つのは、神奈川、岡山、茨城など。下回りが顕著だったのは北海道、広島、大阪、福岡、兵庫などだった。 性感染症の専門医で「プライベートケアクリニック東京」新宿院の尾上泰彦院長が言う。 「気になるのは第39週で過去最多の前年越えした東京です。第41週の累積対前年比の増加数は第40週よりも13件“改善した”とはいえ、依然として過去最多を上回るペースが続いています」 東京都が独自集計した第41週では、新規68件/年累計2956件となっている。感染研の新規37件/年累計2913件と異なるのは、東京都の数字が保健所が報告を受理した件数に対して感染研の数字は医療機関が梅毒と診断した件数だから。ちなみに東京都集計の新規68件の内訳は、男性45件、女性23件。年代は10代5件、20代25件、30代16件、40代11件、50代10件、80代1件だった。推定感染経路は、64件が性的感染(同性間13件、異性間46件、性別不明5件)、不明4件だった。 東京都は10月17日発行の東京都感染症週報2024年第41週のなかで2024年9月における性感染症の報告データ(55医療機関)を公表している。それによると、性器クラミジア238件(男性123件、女性115件)、性器ヘルペス45件(男性28件、女性17件)、尖圭コンジローマ49件(男性33件、女性16件)、淋菌60件(男性42件、女性18件)、膣トリコモナス8件(女性8件)だった。 「梅毒との合併がよくみられる、性器クラミジアの年齢階層別報告数は、男性が25~29歳で最も多く、20~49歳が93%を占めています。一方女性は25~29歳が最多で、15~39歳は92%でした。このことから、若い女性と中高年男性という以前の図式から、新たに若い男女間の感染へと感染傾向が移っているのかもしれません」 また、保健所別の報告数でみると、男女ともに品川区での報告数がダントツ(男性123件中54件、女性115件中32件)に多い。男性は以下、江東区、新宿区、渋谷区と続く。女性は渋谷区、江戸川区、新宿区が多かった。 「梅毒件数は保健所別に公表されていませんが、性器クラミジアの報告件数は参考になる数字です。梅毒の感染場所は東京を代表とする歓楽街である新宿・歌舞伎町のイメージが強いようですが、そうとばかりはいえないかもしれません」