栄光の裏に悲劇あり…不幸な事故で知られる名作映画(3)機体墜落も原因は未だ不明…名作の現場で起きた悲劇とは
映画の現場では、多くのドラマが生まれる。私たちの知り得ない影の努力が身を結び、奇跡の連鎖で作品が作り出されている。一方で、撮影現場は危険がいっぱいだ。出演者だけでなく、スタッフにも思いがけない危険が襲い、死亡事故も後を絶たない。今回は、撮影時に不幸に見舞われた呪われた洋画を5本セレクトして紹介する。第3回。(文・阿部早苗)
『トップガン』(1986)
監督:トニー・スコット 脚本:ジム・キャッシュ、ジャック・エップス・ジュニア 出演:トム・クルーズ、ケリー・マクギリス、ヴァル・キルマー、アンソニー・エドワーズ、トム・スケリット、マイケル・アイアンサイド、ジョン・ストックウェル 【作品内容】 米国軍艦上戦闘機のパイロット、マーヴェリック(トム・クルーズ)は相棒グース(アンソニー・エドワーズ)とともに“トップガン”と呼ばれる養成学校への入学命令が下る。そこで出会った訓練生たちとの友情や衝突、美人教官チャーリー(ケリー・マクギリス)との恋模様を描く。 【注目ポイント】 公開当時、全米興行成績1位を記録し、2022年公開の続編『トップガンマーヴェリック』も世界的メガヒット。航空アクション映画の金字塔である映画『トップガン』。 主演のトム・クルーズの出世作となったのはもちろん、出演のケリー・マクギリス、ヴァル・キルマー、アンソニー・エドワーズをはじめ、メグ・ライアン、ティム・ロビンスなど若き日の名優が名を連ねている点も、本作を特別な作品たらしめている要素だろう。アメリカ海軍による全面協力もあり空戦シーンの迫力も圧巻の一言だ。 数々の美点を備え、公開から年月が経っても老若男女に愛されている本作だが、栄光の裏に悲惨な事故があったことはあまり知られていない。 アクションシーンの撮影中、戦闘機が空中でスピンした際に、事故が発生した。犠牲になったのはパイロットスタントマンのアート・スコール。機体が突如制御不能となり、通信は途絶え、機体は太平洋に落下した。 その後の捜索では残骸は見つかったものの、最後まで機体と遺体は発見されなかった。様々な理由が考えられるものの、事故の原因は不明のまま。エンドクレジットには、スコールを追悼する文章が記されている。 (文・阿部早苗)
阿部早苗