【ビジネスの極意】生産現場で重要な「リードタイム」とは?|リードタイムの意味・数え方・短縮方法を解説
リードタイムの計算方法と特徴
リードタイムを計算するための計算式として、フォワード法とバックフォワード法があります。それぞれ解説します。 ◆フォワード法 フォワード法(Forward method)は、着手する日を決定してから納品までにかかる工程を明らかにし、完了までの全体的な日数を積み上げ式でカウントする方法です。なお、この際、ひとつの日程で複数の工程を作業できるのであれば並行して行う計画を立てましょう。 例えば、着手日が9月1日で工程が3つあった場合、画像のように表せます。 画像の場合、9月4日に工程2と3を進められるため、リードタイムは着手日からカウントして5日となります。 ◆バックフォワード法 バックフォワード法(Backward method)とは、納品日から逆算してリードタイムを算出する方法です。納期や出荷予定日などの最終工程を起点として、納品日から逆算して調達や生産、出荷などの所要日数を見積もります。バックフォワード法は納期が決まっているときや、工程間で並行して作業できない際に有効です。 もし、こちらの方法を使う場合、工程にゆとりを設けないと、エラーが発生して遅延が起きた際に、間に合わなくなってしまうリスクがあるため、注意が必要です。
リードタイムの短縮方法
リードタイムを短縮させると、あらゆるメリットがあることを説明しました。ここからは、具体的なリードタイムの短縮方法を紹介します。 ◆開発リードタイムの短縮方法 開発リードタイムを短縮するには、まず製造に使う部品や仕様を統一化するとよいでしょう。仮に、複数の製品で統一された部品や仕様が使われていれば、部品を製品ごとに管理・製造したり、製品ごとに製造方法を大幅に変更したりする必要がなくなります。見積もりの作成や手配などの管理もスムーズになるでしょう。 他にも、工程や部署ごとで使用システムが異なる場合も、統一させることでリードタイム短縮につながります。見積もり管理システムや資材の発注システムが一元で管理されていると、状況がわかりやすくなるでしょう。 ◆調達リードタイムの短縮方法 調達リードタイムは取引先の都合があり、なかなか改善するのが難しい部分です。 例えば、海外から素材を調達する場合、その国の情勢によっては予定よりも大幅に素材が届くのが遅くなってしまうケースもあるでしょう。そのため、自社ではまず余裕を持ってスケジュールを立てなければならない点を心に留めておきましょう。 調達リードタイムは発注漏れや、発注していても仕入れ先による連携ミスなどで長くなる可能性があります。そのようなエラーをなくすために、事前に社内で発注漏れが起こりやすいケースの把握や、チェック体制の強化、仕入れ先との情報共有をしましょう。 ◆生産リードタイムの短縮方法 生産リードタイムでは、材料の在庫を切らすことによって待ち時間が発生してしまうため、まずは調達リードタイムを短縮させましょう。 その他にも、システムや機械が古く、生産を効率化できていないようであれば最新版の導入を検討したり、人員が足りていないようであれば人件費とのバランスを考えて補充したりすることも解決策のひとつです。従業員によって強み弱みが異なるため、それぞれの人員の特徴を把握し、適切に人員配置することも有効です。 なお、生産リードタイムは出荷までの工程も該当し、倉庫内での作業も含まれます。倉庫までの動線を改善したり、ピッキングやラベリングを効率化したりといった方法も検討できるでしょう。 ◆配送リードタイムの短縮方法 配送リードタイムの短縮を考える際には、まず自社で配送をしているかがポイントとなります。自社で輸送まで行う場合は、ルートを見直すとリードタイムの短縮が期待できます。 ベテランの配送員が輸送できるケースばかりではなく、ときには不慣れな従業員が配送するときもあるでしょう。その際に、どうしてもルートを読むのが難しく、効率的に配送できなくなってしまうこともあります。 そのような際は、配送ルート最適化ツールを検討するのもよいでしょう。これは、AIで配送のための最適なルートを作成できるというツールで、リアルタイムの規制情報や交通状況を考慮したルート案内ができるようになります。 配送を業者に依頼している場合は、業者や輸送方法の見直しも有効です。例えば、トラックなどの陸路のみで輸送している場合は船やフェリーなどの海路、飛行機などの空路を利用することも検討しましょう。