ハーレーのヒストリーを振り返る:1947 ELナックルヘッド〈センバモータース コレクション 第10回〉
どんなに時間が経とうが、その輝きを失わない物がある。モーターサイクルに対する確固たる信念と溢れる情熱でつくられたハーレーダビッドソンもその一つだ。アメリカの工業製品が高性能と洗練されたデザインで世界を席捲した1930~60年代に生産されたモデルは、旧き佳き時代の象徴として人々を魅了してやまない。大阪のセンバモータースに保管されている貴重なコレクションの一部を紹介しよう。 【この記事の写真をまとめて見る】ハーレーのヒストリーを振り返る:1947 ELナックルヘッド
価値を知る愛好家たちによって受け継がれていくもの
鋳鉄シリンダーのボア・ストロークは、84.14×88.9mmで排気量は61キュービックインチ=988cc。ハーレーダビッドソン初の市販OHV・V型2気筒エンジン“ナックルヘッド”だ。 「ELナックルヘッド」は、インディアンや欧州車に対抗し1936年に発売。Eをベースに圧縮比を6.5から7.0に高めたのがELで、1941年式からはボア・ストロークを87.3×100.8mmにスケールアップし、1200cc(74ci)の排気量を獲得したFおよびFLもラインナップに加わっている。 センバモータースに現存するのは、たいへん貴重なナックル最終1947年式。ハーレーダビッドソンは翌年より、OHV第2世代(アルミシリンダーヘッド)となる“パンヘッド”にエンジンを進化させた(もっと言えば、1949年からはフロントサスペンションをスプリンガーフォークから油圧式テレスコピックに換えていく)。 珠玉の車輌を大切にしてきたのは、アンティークコレクターであり、モーターサイクルマニアとして知られるマイク・ウルフ氏。自らが立案し、骨董品(店主役)ハンターとして出演する「眠ったお宝探し隊アメリカン・ピッカーズ」は、世界200ヶ国以上で放送されるヒストリーチャンネルのリアリティ番組。年代物の品々など、隠れたお宝をアメリカの田舎町で発掘し、持ち主と値段交渉するなど、見どころが多く人気を博している。 リアルなヴィンテージバイクファンが所有してきたからこそ、見事なまでのコンディションが保たれ、さらにまた価値を知る愛好家のもとへと受け継がれている。 独自のネットワークと、永年培ってきた豊富な経験/技術を持つセンバモータースなら、購入の相談も受け付けている。 ◆ヒストリーチャンネルの人気リアリティショー「American Pickers」で、骨董品店の共同経営者/買い付け役として出演するマイク・ウルフ氏が、この車輌の元オーナー。ミュージアムコンディションが保たれているのも納得がいく。■現オーナー:Tさん ◆戦後モデルの洗練されたエクステリアは、工業デザイナーのブルック・スティーブンス氏によって施されたもので、メーターダッシュをはじめトゥームストーンのテールランプなど、アメリカンナイズされている。先端を丸くしたタンクエンブレムは「レッドスピードボール」とも呼ばれ、特に人気が高い。 ◆フェンダーチップ/オーナメント/モール/ガード類といったアクセサリーパーツたちを、そのまま現代に残しているのも見逃せない。プライマリーカバー/フィッシュテールマフラー/ツールボックス/ドライブチェーンカバー/細部パーツに至るまで、どれもがお宝である。
────────── ●文:青木タカオ ●写真:藤村ノゾミ ※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
ウィズハーレー編集部
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