NFTコレクション「EtherRocks」がサザビーズに登場──最も得するのは誰か
今年のバレンタインデーは、恋人に石を買ってあげよう。オークションハウスのサザビーズ(Sotheby’s)が2月14日、NFTコレクション「EtherRocks」のオークションを開始した際、売り文句はこうだったかもしれない。同社によると、EtherRocksはNFTの歴史において「極めて重要」なものだという。 確かにその通りだ。CryptoPunks登場のすぐ後の2017年、ERC-1155とERC-721のトークン規格(現在、ほとんどのイーサリアムベースのNFTをサポートしている)が存在する前にローンチされたEtherRocksは、前回の強気相場で人気が出て以来、デジタルアートに関する議論の一部であり続けている。
賛否両論
EtherRocksの実態を考えると、議論に上がることは少し意外かもしれない。岩のクリップアートは100個しかなく、各NFTはほぼ同じJPEG画像と結び付けられている。違いはグレーからブラウンまでの色合いだけ(超レアなブルーも少数ある)。 EtherRocksはNFTコレクターの間で賛否両論あり、プロジェクト創設者が「ブロックチェーン上のペット・ロック(70年代にアメリカで流行した石の玩具)」と呼ぶように、そのばかばかしさが好きな人もいれば、そのコンセプトを悪ふざけと考える人もいる。 私にとっては、EtherRocksはNFTアートの最も真の表現のひとつであり、少なくともNFTがどのようなものになったかを体現している。 創設者たちはローンチ時、EtherRocksをNFTの初期実験以上のものに見せかけることはしなかった。何の役にも立たないことがポイントと言えばポイントだった。 EtherRocksのウェブサイトには「これらのバーチャルな石には、買ったり売ったりできること、そして100個しかない収集可能な石の所有者であることに強い誇りを感じられること以上の目的はない」と記されている。 しかし現在、EtherRocksをめぐる議論はこれまでとは異なるトーンになっている。NFTコミュニティの多くは、サザビーズがデジタルアートに特化した新事業「サザビーズ・メタバース」のもとで、このシリーズにスポットライトを当てると決定したことに非常に腹を立てている。