台湾電力、日本企業2社と覚書 アンモニア混焼で協力へ 温室効果ガス排出削減目指す
(台北中央社)台湾電力(台電)は2月29日、重工業大手IHIと住友商事との3社間で、台電の発電所におけるアンモニア混焼の技術協力に関する覚書を交わした。日本企業2社は、発電設備の改造やアンモニアのサプライチェーン(供給網)構築などを支援する。2030年までに石炭火力への5%アンモニア混焼の達成を目指し、年間9千トンの温室効果ガス排出削減を見込む。 台電が同日、発表した。アンモニア混焼は南部・高雄市の大林火力発電所で行われる。 アンモニア混焼は、火力発電の燃料の一部にアンモニアを使用する技術。台電によれば、アンモニアは燃焼時に二酸化炭素を排出しない他、マイナス33度で液化した状態で保存できるため、温室効果ガスの削減や輸送効率の高さ、保管コストの低さなどのメリットがあるという。 IHIはボイラー設備改造の実行可能性調査やその後の発電ユニットの改修、アンモニア混焼試験などを担当。住友商事はアンモニアのサプライチェーン構築の計画を支援する。 調印式に出席した台電の鄭慶鴻副総経理(副社長)は、実行可能性調査が来年末に完了する予定だとし、細部の設計や施工を含めるとアンモニア混焼開始までに合計で5~6年かかるとの見通しを示した。その上で、設備容量80万キロワットの発電ユニットで1日当たり1時間アンモニア混焼を行うと計算すると、年間で9千トンの温室効果ガス排出を削減できる見込みだと述べた。 台電は22年にも、三菱重工業など三菱グループ3社とアンモニア混焼の技術協力に関する覚書を締結している。 (曽智怡/編集:田中宏樹)