新型コロナ「重篤化のスピード速い」 専門医から見ても「厳しい感染症」
東京都立駒込病院の今村顕史・感染症科部長は23日、小池都知事が新型コロナウイルスの最新情報を伝えるライブ配信動画に出演した。その中で今村氏は、今回のウイルスについて「感染症をずっと見てきた私たちから見ても非常に厳しい感染症。特に、重症になってから重篤(じゅうとく)になるスピードが、僕たちが見ても厳しいな、と思うくらいに進行が速いのが特徴だ」と述べ、危機感を露わにした。
新型コロナウイルス患者を診てきた今村氏は、その症状の経過について、「症状の出始めは比較的ゆっくり。最初の1週間くらいは自宅で診られるくらいの症状が多い。4~7日くらいの間に軽い人はどこかでピークがあって良くなる。一方で、一向に良くならない。なおかつ息切れ感などが出る人は要注意。7~10日くらいにかけて肺炎として進んでくる人が多くなる」と説明した。 都立駒込病院は、感染症指定医療機関だ。今村氏も、感染症患者を受け入れる準備や、防護服の着脱訓練などはしてきたと語る。また「病棟を空けるということも想定していた。ただ、一病棟空けるところまでは想定したが、いまは3病棟を空けている」と、想定以上のペースで患者数が増加している現状を説明した。駒込病院ではこれまでに170人以上を診療したと言い、「多くの患者さんは退院している。一方で、残念ながら命を救えなかった患者さんも何人もいる」とも述べた。 今村氏は、新型コロナウイルスへの対応が難しい理由として軽症・無症状者が多い点を挙げる。「8割の人が軽症で、僕たちが見ている中でも軽症の方もいる。軽症が多いということは、一方でこの感染症の難しさを表している。軽症の人も鼻、もしくは喉(のど)に多くのウイルスを持っており、感染を凄く広げる。軽い人が多くいて、感染を広げやすい。その中で一定の割合で重篤の人が積み重なってしまう。そういう厳しさを持っている」と語った。 最後に、都民に対し「多くの医療者が最前線で戦っている。ただ、実は最前線で戦っているのは医療者だけではない。この感染者はパンデミックだ。全ての人が闘わないと、パンデミックを乗り越えることはできない。これを見ている一人一人が最前線にいることを分かってほしい」と強調。そのためには外出自粛をすることが重要だとしたうえで、「大変なことだと思うが、みなさんが行ってくれる一つ一つの自粛の積み重ねは、必ず僕たちが救おうとしている一人の命につながると思う」とのメッセージを発信した。