主導権争い激化 「政権交代」にらむ野党に与党守勢 韓国
【ソウル時事】韓国の尹錫悦大統領の弾劾訴追案が可決されたことを受け、今後の政局を巡る与野党の主導権争いが激しくなっている。 【ひと目でわかる】非常戒厳を巡る主な捜査対象者 保守系与党「国民の力」は弾劾訴追案への対応を巡り党内の亀裂が深まり、韓東勲代表が16日に辞任。混迷の度を深める与党に対し、最大野党「共に民主党」は政権交代をにらみ、同党主導の国政運営に向けた発言を強めている。 「大統領ごっこに陥らないことを願う」。与党の権性東院内代表は16日に開いた党の議員総会でこう述べ、次期大統領選で野党最有力候補と目される共に民主党の李在明代表を強くけん制した。韓代表が辞任したことを受け、現在は権氏が与党トップ。国政運営を巡って李氏が発言を重ねていることへの不満をぶつけた。 李氏は15日、大統領職を代行する韓悳洙首相の職務に関し「現状維持が主たる任務だ」などと強調。これに対し権氏は「越権だ」と反発し、「今も与党は国民の力だ」と不快感をあらわにした。李氏は、国政正常化のために国会と政府が協力する「国政安定協議体」の設置を提案したものの、与党は拒否した。 李氏には、次期大統領選前倒しを見据え、与党が混乱する隙に国政への発言力を強め、自らの政権担当能力を示す狙いがあるもようだ。 世論調査機関「リアルメーター」の16日の発表によると、国民の力の支持率は25.7%で、共に民主党の支持率は52.4%。差は過去最大で、「非常戒厳」宣言以降の与党のダメージが鮮明になっている。 与党は、野党の李氏のような飛び抜けた大統領候補がいない上、有力候補の一人だった韓氏が指導力不足を露呈した。次期大統領選はもちろん、党立て直しの道筋も描けていない。 韓国メディアによると、権氏は主導権を奪われまいと、李氏に会談を提案。18日に行われる予定だが、国政の安定に向け前向きな協議になるかは見通せない。